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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成22(行ウ)56等

事件名

 原爆症認定義務付等請求事件

裁判年月日

 平成26年5月9日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請を却下する処分の全部又は一部が違法であるとして取り消され,原爆症認定をすべき旨が命じられた事例
2 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請につき,申請から約2年2~5か月後に原爆症認定の要件の充足に関する判断を誤って却下したことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例

裁判要旨

 1 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請をした被爆者らが,健康に影響を及ぼすような相当程度の線量の原子爆弾の放射線に被曝し,その申請疾病の全部(心筋梗塞)又は一部(慢性腎不全)について投薬治療等が必要な状態が続いていたなど判示の事情の下においては,当該疾病については,放射線起因性及び要医療性が認められるから,上記各申請を却下する処分のうち当該疾病に係る部分は違法であり,同処分を取り消すとともに,厚生労働大臣に対し,原爆症認定をすべき旨を命ずるのが相当である。
2 被爆者らがした原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請につき,疾病・障害認定審査会の意見に従って各申請を却下する処分がされたところ,当該審査会の意見が関係資料に照らし明らかに誤りであるなど,答申された意見を尊重すべきではない特段の事情が存在したとまでは認められず,また,申請件数の激増等の諸事情を踏まえれば,原爆症認定に係る事務が滞留し,通常よりも申請書類の確認作業等に時間を要したこと等もやむを得ず,厚生労働大臣が従前の処理体制を漫然と放置していたとはいえないなど判示の事情の下においては,上記各申請を,申請から約2年2~5か月後に,原爆症認定の要件の充足に関する判断を誤って却下したことが国家賠償法上違法とはいえない。

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