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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成23(ワ)36742

事件名

 国家賠償請求事件

裁判年月日

 平成26年7月18日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

判示事項

 1 受刑者とその妻との面会を不許可とした刑事施設の長の処分が,刑事収容施設法114条1項に関する長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして,当該妻に対する関係で国家賠償法1条1項の適用上も違法とされた事例
2 受刑者の妻から当該受刑者に宛てた信書の一部を抹消した刑事施設の長の処分が,刑事収容施設法129条1項に関する長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして,当該妻に対する関係で国家賠償法1条1項の適用上も違法とされた事例

裁判要旨

 1 受刑者とその再審請求に係る弁護人との面会を含めれば当該受刑者の面会が規定回数を超えることを理由としてされた当該受刑者とその妻との面会を不許可とする旨の処分は,当該刑事施設では従前から当該受刑者とその再審請求に係る弁護人との面会を規定回数の対象外として取り扱っており,それによって当該刑事施設の管理運営に何らかの支障が生じたとの事情もうかがわれないなどの判示の事情のもとでは,刑事収容施設法114条1項に関する長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があり,当該処分は長が面会の申出をした親族に対して負う受刑者と面会する利益を保護すべき職務上の法的義務に違反したものとして国家賠償法1条1項の適用上も違法となる。
2 受刑者の妻から当該受刑者に宛てた信書の一部を抹消した刑事施設の長の処分は,抹消部分において言及された者が無期懲役刑の仮釈放中のため刑事収容施設法128条所定の「犯罪性のある者」に該当する者として信書の交付禁止処分を受けたことのある者であるものの,その後に再審開始決定が確定しており,同人が言及された部分も分量的にわずかで,同人が当該受刑者との間に直接の面識がなかったなどの判示の事情のもとでは,同法129条1項に関する長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があり,当該処分は信書を発信した親族に対して負う職務上の法的義務に違反したものとして国家賠償法1条1項の適用上も違法となる。

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