裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成20(行ウ)602
- 事件名
都市計画決定無効確認等請求事件
- 裁判年月日
平成27年11月17日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 都市施設である幹線街路外郭環状線の整備に係る都市計画決定の処分性の有無
2 都市計画の違法確認,都市計画法53条1項の規定する建築制限を受けない地位にあることの確認,都市計画決定の廃止手続を執らないことの違法確認の各訴えの確認の利益の有無
3 都市計画の廃止義務懈怠を理由とする国賠法1条1項に基づく損害賠償請求の可否
4 都市計画法53条1項の規定する建築制限を理由とする損失補償の要否
- 裁判要旨
1 都市施設である幹線街路外郭環状線の整備に係る都市計画決定による都市計画法53条1項の規定する建築制限は一般的抽象的な効果を持つものにすぎず,同計画区域内の土地所有者等の権利を直接的,具体的に制限するものとはいえないし,同所有者等が都市計画決定によって当然に都市計画事業の手続に従って土地の収用を受けるべき地位に立たされるとはいえないから,同都市計画決定は,行政処分に当たらない。
2 上記都市計画決定に係る都市計画の違法確認,都市計画法53条1項の規定する建築制限を受けない地位にあることの確認,同都市計画決定の廃止手続を執らないことの違法確認の各訴えは,同都市計画につき,現時点においてもその内容が変更される可能性が多分にあり,いまだ不確定な状態にあること,都市計画決定がされているというだけでは,同計画区域内の土地所有者等について事後の回復が困難な不利益が生じているとはいえず,同都市計画の適法性等を確認の訴えによって争う切迫した必要性があると認めることはできないことなどからすれば,即時確定の利益を欠き,確認の利益を欠く。
3 都市計画を廃止しないという不作為が国賠法1条1項の適用上違法と評価されるのは,都市計画決定についての行政庁の広範な裁量を前提としてもなお,都市計画を廃止すべきことが明確に義務付けられるような事情がある場合に限られるところ,幹線街路の整備に係る都市計画について,同街路と事実上一体のものとして計画された外環本線の構造形式が変更されたとしても,外環本線と幹線街路の計画とが別個の手続を経て決定されたものであって法的に一体のものとはいえないことや,幹線街路は外環本線の有していない独自の機能を有する道路であることなどから,同街路の都市計画が明らかに重要な事実の基礎を欠くに至ったと認めることはできないことなど判示の事情の下では,同計画を廃止すべきことが明確に義務付けられたとはいえないから,不作為の違法は認められず,国賠法1条1項に基づく損害賠償請求には理由がない。
4 都市計画による都市計画法53条1項の建築制限が長期間にわたっているとしても,同計画区域内の土地につき高度な土地利用が予定されているとは認められないことなど判示の事情の下では,都市計画決定による建築基準法(昭和43年法律第101号による改正前のもの)44条及び都市計画法53条1項の規定する建築制限から生じた損失が,一般的に当然に受忍すべきものとされる制限の範囲を超えて特別の犠牲を課せられたものということは困難であるから,憲法29条3項を根拠として上記損失につき補償を請求する権利を有するものとはいえない。
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