裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成26(行ウ)472
- 事件名
国籍確認請求事件
- 裁判年月日
平成28年6月24日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
日本国籍を有する父とロシア連邦国籍を有する母との間に出生して生来的に日本国籍を有する原告らにつき,出生後にロシア国籍を取得し,国籍法11条1項の適用により日本国籍を喪失したものと認められた事例
- 裁判要旨
日本国籍を有する父とロシア国籍を有する母との間に出生して生来的に日本国籍を有する原告ら(未成年者である子ら)につき,原告らの父母が,簡易手続によるロシア国籍の許可の手続を行い,原告らのロシア国籍を取得した場合において,次の(1),(2)などの判示の事情の下では,国籍法11条1項所定の「自己の志望によって」外国の国籍を取得したものと認められ,同項の適用により日本国籍を喪失したものと認められた事例
(1) 原告らの母が記入したものと推認される各申請書の内容は単なる出生登録のための書面にとどまるものではないことが明らかであり,原告らの母は何度か書き直しを指示されたりしながら当該各申請書の作成を完了したこと,また,各申請に対する応答として原告らの母が受領した原告らに係るロシア国籍取得の決定書には,出生登録がされたことを示すような文言は見当たらないこと,他方,原告らの父は,原告らに係るロシア国籍の許可申請に同意するに当たり,「子どものロシア国籍に反対しませんか」という趣旨の質問をされ,それに反対しない旨の回答をし,署名をしたこと,また,原告(次男)の日本旅券発給申請手続において,同原告につき,出生によりロシア国籍を取得した旨の記載を抹消し,現在は未だ同国籍を取得していない旨の記載に訂正したことからして,上記のロシア国籍取得手続に係る申請行為が新たな国籍取得とは無関係の手続に係るものであると確定的に認識していたとは認められないこと
(2) 原告らの父母が原告らにつき生来的に日本とロシアの二重国籍となる旨を知人から聞いていたとしても,確たる根拠に基づく情報と認めるに足りないこと,また,原告らの父が閲覧したロシア大使館のホームページの記載内容から,原告らが生来的にロシア国籍を取得しており,出生登録をすれば二重国籍が認められると確信することはできないと考えられることからして,原告らの父母が上記のロシア国籍取得手続に及んだことにつき無理からぬといえるような確実な根拠があったとはいえないこと
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