裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成29(行ウ)129
- 事件名
返還額決定処分取消請求事件
- 裁判年月日
平成30年4月20日
- 裁判所名
大阪地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
生活保護法63条にいう「急迫の場合等において資力があるにもかかわらず,保護を受けたとき」の意義
保護基準の減額改定後も改定前の住宅扶助の給与を受け,過給与が生じていた被保護者に対し,生活保護法63条に基づき過給与分全額の返還を命ずる旨の処分について裁量権の範囲の逸脱又は濫用は認められないとされた事例
- 裁判要旨
生活保護法63条にいう「急迫の場合等において資力があるにもかかわらず,保護を受けたとき」には,被保護者が,資力があるにもかかわらず急迫の事由があってこれを利用することができないために一時的に保護を受けた場合や,被保護者が,最低限度の生活の需要を満たすに十分な資産等を有しこれを利用し得るにもかかわらず保護を受けた場合のほか,保護の実施機関等が,被保護者の需要の測定に用いるべき保護基準を誤った結果,当該需要を過大に測定し,当該被保護者に対し,本来用いるべき保護基準によればするべきであった保護費の支弁の程度を超過した保護費の支弁をした場合を含む。
原告の資産や収入の状況,保護金品を受領した経緯及びその使用状況,原告の健康状態や生活実態等の諸事情を総合考慮すると,住宅扶助の過給与分全額である1万8000円を返還額とする旨の生活保護法63条に基づく処分について,裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるということはできないとされた事例。
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