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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成29(行ウ)466

事件名

 税理士登録拒否処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成30年8月30日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 かつて税法違反その他非違行為を行った者についての税理士法24条6号所定の「税理士業務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者」及び7号所定の「税理士の信用又は品位を害するおそれがある者その他税理士の職責に照らし税理士としての適格性を欠く者」該当性の判断要素
2 かつて所得税法違反の罪により罰金刑の宣告を受け,税理士法4条5号所定の期間経過後に税理士名簿への登録申請をした者につき,同法24条6号ロ及び7号に該当性するとして,登録申請拒否処分の取消請求が棄却された事例

裁判要旨

 1 かつて税法違反その他非違行為を行った者についての税理士法24条6号ロの登録拒否事由の有無を判断するに当たっては,当該申請者についての適格性に関わる諸事情を総合的に考慮する必要があり,具体的には,過去の非行の内容,性質,重大性に加えて,当該非行に対する刑事処分等の処分後の就業状態や生活状況,反省の態度等からみて職業的自覚が十分に改善されているか否か,当該申請人に再び税理士の業務を行わせることにより,税理士制度に対する社会一般の信頼を損なうおそれがあるか否かという観点から判断を行うのが相当であり,同条7号該当性の判断も,同様の観点から行うのが相当である。
2 かつて所得税法違反の罪により罰金刑の宣告を受け,税理士法4条5号所定の期間経過後に税理士名簿への登録を申請した者が,元国税職員でありながら,税理士として以前活動していた間に,その知識経験を悪用し,長期間にわたり多額の所得隠しを行っていたこと,当該非行の社会的影響が完全に払拭されたということはできないこと,当該非行に起因する極めて多額の滞納税額があること,職業的自覚の改善がいまだ十分でないと認められることなど判示の事情の下においては,同法24条6号ロ及び7号に該当するものと認められる。

【参考法令】
1,2につき税理士法24条6号ロ,7号

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