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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成27(行ウ)16

事件名

 怠る事実の違法確認等請求事件(住民訴訟)

裁判年月日

 平成30年5月24日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 市民会館の増改築工事契約をめぐる住民訴訟で,
1 落札者を除く入札者が予定価格を超える金額で入札をした事実等から談合の存在を推認することはできないとされた事例
2 本体工事(市民会館別館の増改築工事)に伴い法令上必要とされる追加工事(同市民会館本館の改修工事)を含めずに本体工事についてのみ入札を実施したことが不法行為ということはできないとされた事例
3 入札実施後原契約締結前に,法令上追加工事が必要とされることが判明した場合において,その必要性を議会に報告しないまま,本体工事についてのみ議会の議決を得て原契約を締結したことが不法行為ということはできないとされた事例

裁判要旨

 1 東日本大震災に係る復旧・復興事業等の影響で人件費等が急騰し,入札の不調あるいは不落が相次ぐ状況にあったことからすると,α市における事後審査型制限付一般競争入札の落札率が高止まり傾向にあり,本件入札の落札率も100%であったことが明らかに不自然とはいえないことなどからすれば,落札者を除く入札者が全員予定価格を超える金額で入札をしたなど原告らが主張する事実から談合の存在を推認することはできない。
2 本体工事(市民会館別館の増改築工事)に伴い法令上必要とされる追加工事(同市民会館本館の改修工事)について,α市長らが本体工事に係る入札の実施時にその必要性を認識していた,又は,認識することができたとは認められないから,追加工事を含めずに上記入札を実施したことが不法行為ということはできない。
3 追加工事を実施するには原契約を締結した上でこれを変更する方法によることに合理性があったこと,追加工事のための契約の変更については予算措置を含めて別に議会の議決を求める予定であったことなどからすれば,α市長らが原契約締結に係る議会の審議の際に追加工事の必要性を報告しなかったからといって,上記審議を妨げたとはいえず,上記報告をせずに議会の議決を得て原契約を締結したことが不法行為ということはできない。

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