裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成30(行ウ)233

事件名

 公文書部分公開決定処分取消請求事件

裁判年月日

 平成30年12月20日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

判示事項

 1 区を被告とする訴訟事件の判決書のうち,同訴訟事件の事件番号並びに一方当事者である個人の住所氏名及び所有不動産に関する情報が記録された部分を除く部分に記録された情報が,東京都板橋区情報公開条例6条1項2号所定の非公開情報に該当しないとされた事例
2 東京都板橋区情報公開条例上の実施機関である区長が,同条例に基づく区を被告とする訴訟事件の判決書の情報公開請求につき,同判決書のうち同訴訟事件の事件番号並びに一方当事者である特定の個人の住所氏名及び所有不動産に関する情報が記録された部分を除く部分を非公開としたことが,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例

裁判要旨

 1 区を被告とする訴訟事件の判決書のうち,同訴訟事件の事件番号並びに一方当事者である特定の個人の住所氏名及び所有不動産に関する情報が記録された部分を除く部分に記録された情報は,①当該情報単独で特定の個人である同訴訟事件の原告を識別することはできないこと,②他の情報と照合したとしても,特定の個人である当該原告を識別し得るものとはいえないことなど判示の事情の下では,東京都板橋区情報公開条例6条1項2号所定の非公開情報に該当しない。
2 東京都板橋区情報公開条例上の実施機関である区長が,同条例に基づく区を被告とする訴訟事件の判決書の情報公開請求につき,同判決書のうち同訴訟事件の事件番号並びに一方当事者である特定の個人の住所氏名及び所有不動産に関する情報が記録された部分を除く部分を非公開としたことは,①同条例6条1項2号の非公開情報に該当するとした判断手法が,既に同訴訟事件につきより詳細な情報を知る又は知り得る立場にある者にとって,非公開部分が公開されたとしても,特定の個人が識別され得る新規の有意な情報が付加されるものではないにもかかわらず,このような特定の範ちゅうに属する者の有する情報を照合対象とする点で,同条例の趣旨目的に反するものであること,②上記手法を是認する裁判例や学説は見当たらないこと,③他の自治体における判決書の情報公開の取扱いと比較しても,極めて広範囲の部分を非公開とするものであること,④予備的な理由として開示請求者固有の事情を根拠に同号に該当するとした点が明らかな誤りであることなど判示の事情の下においては,国家賠償法1条1項の適用上違法である。

全文