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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成29(行ウ)237

事件名

 土地の使用許可申請不許可処分取消等請求事件

裁判年月日

 令和元年7月18日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

判示事項

 1 公職選挙法所定の「住所」を有しない者が次回の衆議院議員総選挙における選挙区選出議員の選挙及び比例区選出議員の選挙においてホームレスの自立の支援等に関する特別措置法がいうホームレスとして住民基本台帳に記録されない状態を継続しながら投票をすることができる地位又は選挙人名簿に登録される地位にあることの確認を求める訴えの適否
2 公職選挙法所定の「住所」を有しない者が次回の日本国憲法の改正手続に関する法律に基づく国民投票においてホームレスの自立の支援等に関する特別措置法がいうホームレスとして住民基本台帳に記録されない状態を継続しながら投票をすることができる地位又は投票人名簿に登録される地位にあることの確認を求める訴えの適否
3 平成29年10月22日に施行された衆議院議員の総選挙までに国会が公職選挙法所定の「住所」を有しない者に選挙権を行使するために必要な立法措置を執らなかったことについて,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法の評価を受けるものとはいえないとされた事例

裁判要旨

 1 公職選挙法所定の「住所」を有しない者が次回の衆議院議員総選挙における選挙区選出議員の選挙及び比例区選出議員の選挙においてホームレスの自立の支援等に関する特別措置法がいうホームレスとして住民基本台帳に記録されない状態を継続しながら投票をすることができる地位又は選挙人名簿に登録される地位にあることの確認を求める訴えは,法令の適用により終局的に解決できるものではなく,法律上の争訟性を欠くため,不適法である。
2 公職選挙法所定の「住所」を有しない者が次回の日本国憲法の改正手続に関する法律に基づく国民投票においてホームレスの自立の支援等に関する特別措置法がいうホームレスとして住民基本台帳に記録されない状態を継続しながら投票をすることができる地位又は投票人名簿に登録される地位にあることの確認を求める訴えは,法令の適用により終局的に解決できるものではなく,法律上の争訟性を欠くため,不適法である。
3 平成14年にホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が,平成27年に生活困窮者自立支援法が施行され,生活困窮者に対する支援提供の拡充が進められており,貧困等を理由に住所を持つことができない国民が,生活保護法による住宅扶助制度(同法14条,33条),生活困窮者自立支援法による生活困窮者住居確保給付金の支給制度(同法3条3項,6条)等を利用するなどして,住所を有しない状態を解消し,住民基本台帳への記録,ひいては選挙人名簿への登録を経て,選挙権を現実に行使することが可能となることなど判示の事情の下では,平成29年10月22日施行の衆議院議員総選挙当時において,公職選挙法21条1項の選挙人名簿への被登録資格に住所要件を求めている部分が,憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であったとはいえないから,公職選挙法上の住所要件を満たさない者の選挙権行使に係る国会議員の立法不作為が,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法の評価を受けるものとはいえない。

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