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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成29(行ウ)541

事件名

 生活保護廃止決定処分取消請求事件,費用徴収決定処分取消請求事件

裁判年月日

 令和元年9月12日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

判示事項

 生活保護法による保護を受けている者が父親の未分割遺産に属する金員を原資として自己名義の預金口座に入金した金員につき,同法4条1項にいう「利用し得る資産」であるとした上で,上記保護を受けている者が上記金員を申告せず不実の申請その他不正の手段により保護を受けたとしてされた費用徴収決定が,違法であるとされた事例

裁判要旨

 生活保護法による保護を受けている者が父親の未分割遺産に属する預貯金を原資として自己名義の預金口座に入金した金員を流用したことがあったとしても,上記保護を受けている者は上記預貯金を遺産の管理のため同口座に移し替えたものであること,同人は同口座に流用額に相当する金員を戻していること,同人は上記入金に係る金員を一時的に利用することにつき相続人全員の同意を得ていなかったことなどの事情の下においては,上記入金に係る金員は,相続人との関係では遺産の性質を有するものであり,直ちに活用することのできるものではなく,また,同金員につき収入の届出はされていないものの,同金員の存在により上記保護を受けている者の保護の受給の可否に影響が生じるものではなく,同人が不実の申請その他不正の手段により保護を受けたということはできないから,同金員を同法4条1項にいう「利用し得る資産」であるとした上で,同人が同金員を申告せず不実の申請その他不正の手段により保護を受けたとしてされた費用徴収決定は,違法である。

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