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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成28(行ウ)223

事件名

 原因者負担金負担命令取消請求事件

裁判年月日

 令和元年9月26日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

判示事項

 1 原告が河川護岸等から成る斜面上に設置したコンクリートブロック等が河川の河道内に崩落するなどした事故について,原告が上記ブロックを設置するなどの工事をしたことがその原因であったと認められた事例
2 土木事務所長が行った応急対策工事に係る費用の全部を原告に負担させることとした河川法67条に基づく原因者負担金負担命令に,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったとは認められなかった事例

裁判要旨

 1 河川護岸等から成る斜面上に河岸に沿ってコンクリートブロックを設置するなど原告がした工事の内容に照らせば,同工事が行われたことにより上記斜面に対する荷重が増加し,斜面としての安定性が低下したことが容易に推認されること,上記工事が行われたこと以外に長年にわたって安定していた斜面が事故当日に突如として崩壊した原因として考えられるような事情が見当たらないこと,被告が実施した円弧滑り計算の結果も上記工事により斜面の安定性が有意に害され,仮に上記工事が行われていなければ崩壊することのなかった斜面が当日の降雨及び河川の水位の変化を契機として崩壊したことを表していることなどによれば,原告が設置したコンクリートブロック等が河川の河道内に崩落するなどした事故については,原告が上記工事をしたことがその原因であったと認められる。
2 原告による工事が事故の原因であり,他に,長年にわたって安定していた斜面が事故の当日に突如として崩壊した原因として考えられるような事情が見当たらない上,原告は本来必要な河川法55条1項の許可を受けずに,かつ,現地の測量や図面の作成もせずに工事を行い,斜面の安定性を低下させて事故を発生させたなど判示の事情の下では,土木事務所長が行った応急対策工事に係る費用の全部を原告に負担させることとした河川法67条に基づく原因者負担金負担命令に,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったとは認められない。

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