裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成29(行ウ)43
- 事件名
大阪市政務活動費返還請求事件
- 裁判年月日
令和元年6月19日
- 裁判所名
大阪地方裁判所
- 分野
- 判示事項
政務活動費の交付を受けた会派において政務活動費につき行った支出が不法行為に基づく損害賠償の対象となる違法なものであるとされた事例
- 裁判要旨
市議会の会派の所属議員が,当該会派から,市政事務所の賃貸借契約の締結について会派のための政務活動としての承認を受けて同契約を締結した上,同契約に基づく賃料並びに当該事務所の備品,水道光熱費,車両及び電話料等の使用料の各相当額として政務活動費の交付を受け,これを同契約の賃貸人に対する前記賃料及び使用料の支払に充当した場合において,次の⑴~⑶など判示の事情の下においては,前記使用料の支出の少なくとも一部は,不法行為に基づく損害賠償の対象となる政務活動費の違法な支出に当たる。
⑴ 賃貸人は,前記議員から前記使用料として受領した金員と同額の金員を,前記議員名義の預金口座に振込送金し,前記議員に対して支払っていた。
⑵ 前記使用料は,(a)金庫,机,いす及び自動車等の設備の使用料と(b)当該事務所の維持・管理のための費用(水道光熱費等)等とから成るところ,前記(a)の設備は前記議員が所有するものであり,また,(b)当該事務所に係る水道光熱費は,当該事務所と同じ建物内の前記議員の税理士事務所等に係る水道光熱費等と一括して支払われていた。
⑶ 市議会が政務活動費の適正な取扱いと経理の明確化に資するための統一的な基準として作成している「政務活動費の手引き」には,資産形成に当たる備品の購入及びリースの費用を政務活動費から支出することができない旨の定め並びに自動車の購入費用(リース期間満了後に所有権が会派,議員,配偶者・被扶養者・同居者等生計を一にする者,自らが代表者・役員等の地位にある法人等に移転する場合を含む。)を政務活動費から支出することができない旨の定めがある。
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