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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成30(行ウ)163

事件名

裁判年月日

 令和元年11月7日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

判示事項

 経理事務を担当する従業員が自らの横領の事実を隠蔽するために行った架空の仕入高を計上する行為につき,法人の隠蔽仮装行為と同視することができ,国税通則法68条1項にいう「納税者」が隠蔽仮装行為をした場合に該当するとして,同法人に対する重加算税賦課決定処分が適法であるとされた事例。

裁判要旨

 パチンコ店の経営等を業とする法人である原告において,経理事務を担当する従業員が売上金の一部を横領し,これを隠蔽するために架空の仕入高を計上していたところ,法人税等の確定申告において,原告が実際には仕入れの事実がないにもかかわらず,架空の仕入高を計上していたことなどを理由に法人税等の重加算税賦課決定処分がされたために原告がその取消しを求めた事案において,原告においては,上記従業員の経理処理に対する指揮監督や現金の管理が十分に行われていなかったこと,上記架空仕入高の計上は特に巧妙な手段で行われたものではなく明らかに不自然であったのに,長期間かつ多数回に及んでおり,経理事務が適切に行われていれば原告はその事実を容易に認識することができ,法定申告期限までにその是正や過少申告の防止の措置を講ずることができたことなど本件判示の事実関係の下では,当該従業員による架空仕入れの計上を原告の隠蔽仮装行為と同視することができ,国税通則法68条1項にいう「納税者」が隠蔽仮装行為をした場合に該当するとして,当該重加算税賦課決定処分が適法であるとされた事例。

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