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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成28(行ウ)169

事件名

 自衛隊出動差止め等請求事件(第1事件),安保法制違憲駆け付け警護等差止請求事件(第2事件,第3事件)

裁判年月日

 令和2年3月13日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 (判示事項)
1 内閣総理大臣による自衛隊法76条1項2号に基づく自衛隊の出動,防衛大臣による重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律6条1項に基づく後方支援活動としての自衛隊に属する物品の提供の実施及び同条2項に基づく後方支援活動としての自衛隊による役務の提供の実施命令,防衛大臣による国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律7条1項に基づく協力支援活動としての自衛隊に属する物品の提供の実施及び同条2項に基づく協力支援活動としての自衛隊による役務の提供の実施命令,国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律9条4項に基づく同法3条5号ト若しくはラに掲げる国際平和協力業務又は同号トに類するものとして同号ナの政令で定める国際平和協力業務の実施並びに自衛隊法95条の2に基づくアメリカ合衆国の軍隊その他の外国の軍隊の部隊の武器等の防護の警護の実施の各差止めを求める訴えが,いずれも不適法とされた事例
2 内閣が新たな安全保障法制の整備のための基本方針を閣議決定したことに加え,我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律並びに国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律の各法律案をそれぞれ閣議決定し,国会がこれらの法律案を可決して成立させたことによって,原告らの法律上保護された権利を侵害するものとはいえないとされた事例

裁判要旨

 1 内閣総理大臣による自衛隊法76条1項2号に基づく自衛隊の出動,防衛大臣による重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律6条1項に基づく後方支援活動としての自衛隊に属する物品の提供の実施及び同条2項に基づく後方支援活動としての自衛隊による役務の提供の実施命令,防衛大臣による国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律7条1項に基づく協力支援活動としての自衛隊に属する物品の提供の実施及び同条2項に基づく協力支援活動としての自衛隊による役務の提供の実施命令,国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律9条4項に基づく同法3条5号ト若しくはラに掲げる国際平和協力業務又は同号トに類するものとして同号ナの政令で定める国際平和協力業務の実施,自衛隊法95条の2に基づくアメリカ合衆国の軍隊その他の外国の軍隊の部隊の武器等の防護の警護の実施の各差止めを求める訴えは,①これらの行為に係る事実行為が原告らの平和的生存権等を侵害するとの主張を前提とすれば,上記事実行為には処分性がないこと,②これらの自衛官に対する処分が原告らの平和的生存権等を侵害するとの主張を前提とすれば,原告らには原告適格が認められないことから,いずれも不適法である。
2 内閣が新たな安全保障法制の整備のための基本方針を閣議決定したことに加え,我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律並びに国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律の各法律案をそれぞれ閣議決定し,国会がこれらの法律案を可決して成立させたことは,原告らの主張する平和的生存権,人格権,憲法改正・決定権その他の権利がいずれも国家賠償請求において法律上保護されるべき利益とはいえないという事情の下においては,原告らの法律上保護された利益を侵害するものとはいえない。
(参考法令)
憲法前文,9条,13条,自衛隊法76条1項2号,95条の2,重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律6条1項,2項,国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律7条1項,2項,国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律3条5号ト,ナ,ラ,9条4項

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