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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成24(行ウ)345

事件名

 住民訴訟事件

裁判年月日

 令和2年7月21日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

判示事項

 中央卸売市場の移転先用地を取得するため複数筆の土地を正常価格の目安となる価格の約1.37倍から約1.41倍の価格で買い取る各売買契約を締結した都の財務局長の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法であるとはいえないとされた事例

裁判要旨

 中央卸売市場の移転先用地を取得するため複数筆の土地を正常価格の目安となる価格の約1.37倍から約1.41倍の価格で買い取る各売買契約を締結した都の財務局長の判断は,①中央卸売市場施設の狭隘・過密化・老朽化に対処するため,都が中央卸売市場を移転する方針としていたが,上記複数筆の土地の所在する地区以外に移転候補地が見当たらない状態であったこと,都が中央卸売市場を現在地において再整備する具体案を採用せず,移転を推進したことがそれ自体不合理とはいえないこと,上記複数筆の土地には相当程度の土壌汚染が存在したが,多額の費用は要するものの,一定程度の土壌汚染対策をすることが可能であったこと,中央卸売市場の移転先用地の一部として既に取得した土地の活用も考慮する必要があったことから,中央卸売市場の移転先用地を取得する必要があると判断して,上記各売買契約を締結したこと自体が不合理であるということはできないこと,また,②上記各売買契約の締結の一方で,都がその売主との間で,売主が上記複数筆の土地を含む中央卸売市場移転予定地の土壌汚染対策費用の一部を負担する協定を締結していることなど,判示の事情の下では,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法であるとはいえない。

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