裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成30(行ウ)124

事件名

 名古屋城天守閣整備事業における基本設計代金の 支払いに対する返還請求,同実施設計契約の無効,及び同事業の差止請求事件

裁判年月日

 令和2年11月5日

裁判所名

 名古屋地方裁判所

分野

判示事項

 1 文化財保護法上の特別史跡内における名古屋城の天守閣の整備事業(以下「本件事業」という。)に関する基本設計業務(以下「本件基本設計業務」という。)の受託会社(以下「本件会社」という。)に対する業務委託料の支出に関する支出命令等が財務会計法規上の義務に違反する違法なものとはいえないとされた事例
2 本件事業を行うとした名古屋市の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえず,本件事業に関する一切の財務会計上の行為の差止請求は認められないとされた事例

裁判要旨

 1 本件会社は,本件基本設計業務の委託契約上,本件事業につき文化庁の復元検討委員会の審査を受けて文化審議会の諮問を経る義務や名古屋市が文化庁に提出する基本計画書及び申請書類を名古屋市に提出する義務を負うということはできないから,これらを行っていなかったとしても,業務委託料の支出命令等が財務会計法規上の義務に違反する違法なものとはいえない。
2 本件事業を行うとした名古屋市の判断は,学識経験者等により行われ,内容的にも不合理な点が認められない検討結果に基づいて行われたものであって,重要な事実の基礎を欠き,又は,その内容が社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものであるということはできないから,上記判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえず,本件事業に関する一切の財務会計上の行為の差止請求は認められない。

全文