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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成30(行ウ)392

事件名

 憲法53条違憲国家賠償等請求事件

裁判年月日

 令和3年3月24日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

判示事項

 1 国会議員である原告が提起した内閣の義務又は原告が有する公法上の地位の確認を求める旨の訴えが,法律上の争訟には該当しないものとして,不適法とされた事例
2 国会議員である原告が内閣によって侵害されたと主張した権限が,国家賠償法1条1項の適用上保護される権利又は利益には該当しないとされた事例

裁判要旨

 1 原告は,内閣という国の機関を主体とする作為又は不作為により,原告が参議院議員という国の機関としての地位に基づいて有する臨時会の召集の決定を要求する権限を侵害されたとして,その保護救済を求める趣旨で,内閣が当該権限に基づく行為に対応して一定の期間内に臨時会を召集することができるようにその召集を決定する義務を負うこと又は原告が当該権限に基づいて内閣が上記の決定をすることを享受することができる地位にあることの確認を求める趣旨の訴えを提起したものと解するのが相当であるから,当該訴えは,裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」には該当せず,行政事件訴訟法6条が規定する機関訴訟に該当する。
2 原告が参議院議員として有する権限は,いずれも,国会議員という国の機関が,憲法,国会法並びに衆議院規則及び参議院規則の規定に基づき,国会議員としての職務の遂行に当たって行使し得るものとして付与されたものであり,国会議員が,多様な国民の意向又は意見をくみ,これを立法過程に反映させることを通じて統一的な国家意思を形成することに向けた職務上の権限(立法行為に係る権限)を有する立場にあることに照らすと,当該権限自体は,直接的には,公益を図ることを目的とするものであり,国家賠償法1条1項の規定に基づく損害賠償請求権の存在を基礎付けるに足りる法律上保護された利益とは認められない。

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