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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成27(行ウ)238

事件名

 南相馬避難解除取消等請求事件

裁判年月日

 令和3年7月12日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

判示事項

 1 東京電力福島第一原子力発電所において発生した放射性物質が放出される事故に係る特定避難勧奨地点の設定の解除について,抗告訴訟の対象である処分に当たらないとされた事例
2 東京電力福島第一原子力発電所において発生した放射性物質が放出される事故に係る特定避難勧奨地点に設定された住居に居住していた者が,同設定の解除は無効であるとして,その住居が特定避難勧奨地点に設定されている地位にあることの確認を求める訴えについて,確認の利益がないとされた事例
3 東京電力福島第一原子力発電所において発生した放射性物質が放出される事故に係る特定避難勧奨地点が解除されたことについて,国家賠償法上の違法はないとされた事例

裁判要旨

 1 東京電力福島第一原子力発電所において発生した放射性物質が放出される事故に係る特定避難勧奨地点の設定の解除について,同解除は,同設定と同様に原子力災害現地対策本部によって事実上実施されたものにすぎないといえ,同設定を受けた住民に解除後1年間の積算線量が20ミリシーベルトを下回ることが確実であることが確認された旨の情報提供をするもので,帰還を強制するものであったとは認められないことからすると,抗告訴訟の対象である処分に当たらない。
2 東京電力福島第一原子力発電所において発生した放射性物質が放出される事故に係る特定避難勧奨地点に設定された住居に居住していた者が,同設定の解除は無効であるとして,その住居が特定避難勧奨地点に設定されている地位にあることの確認を求める訴えについて,同設定は,当該住居に居住し続けた場合に,当該住居又はその近傍の空間線量率が比較的高いことから,生活形態によっては本件事故後1年間の積算線量が20ミリシーベルトを超える可能性が否定できないとされた住居等について,当該住民にその旨の情報提供等をする措置であって,設定を受けた住民の権利又は法律関係に直ちに影響を及ぼすものとはいえないことからすると,同訴えには,確認の利益が認められない。
3 東京電力福島第一原子力発電所において発生した放射性物質が放出される事故に係る特定避難勧奨地点の設定の解除について,同解除は,同設定を受けた住民に解除後1年間の積算線量が20ミリシーベルトを下回ることが確実であることが確認された旨の情報提供をするもので,帰還を強制するものであったとは認められないことからすると,国家賠償法上の違法性は認められない。

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