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行政事件 裁判例集

事件番号

 令和1(行ウ)461

事件名

 在留資格変更不許可処分無効確認等請求事件

裁判年月日

 令和4年9月30日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 在留資格の変更の申請を不許可とする処分を受けた後、別の在留資格への変更を許可する処分を受けた場合における当該不許可処分の無効等の確認を求める利益の有無

2 本国で有効に成立している外国人同士の同性婚の配偶者については本体者に在留資格があればその同性婚の配偶者に「特定活動」の在留資格を付与する旨の平成25年10月18日付け法務省入国管理局入国在留課長通知に基づく運用の憲法適合性

3 地方出入国在留管理局長が日本人との同性婚の相手方である外国人に対し「特定活動」の在留資格への変更を認めなかった措置は、客観的には違法であるが、国家賠償法1条1項に規定する過失がないとされた事例

裁判要旨

 1 ある在留資格を有する外国人が、在留資格の変更の申請をしたがこれを不許可とする処分を受けた後、更に別の在留資格への変更を許可する処分を受けた場合には、当該外国人は当該不許可処分の無効等の確認を求める利益を有しない。

 2 日本人との同性婚の相手方である外国人は、本国で有効に成立している外国人同士の同性婚の配偶者については本体者に在留資格があればその同性婚の配偶者に「特定活動」の在留資格を付与する旨の平成25年10月18日付け法務省入国管理局入国在留課長通知に基づく運用の射程が及ばないとして、その同性婚の実態等を考慮することなく一律に「特定活動」の在留資格を付与しないとする取扱いは、その運用において法の下の平等を定めた憲法14条の趣旨に反する。

 3 地方出入国在留管理局長が、日本人との同性婚の相手方である外国人について、外国で有効に成立したと解されるなど同性間の婚姻関係を一定程度保護する必要があったこと、当該外国人と日本人が本邦において安定的に生活することができるよう人道的配慮を行う必要があったことなどの個別的事情があるにもかかわらず、当該外国人に対し「特定活動」の在留資格への変更を認めなかった措置は、客観的には違法であるが、その当時、日本人との同性婚の相手方である外国人には、平成25年10月18日付け法務省入国管理局入国在留課長通知に基づく運用の射程が及ばないと解されていたこと、同通知に基づく運用の合理性について疑義を呈した裁判所等による公権的判断も示されていなかったこと、出入国在留管理庁長官に対し当該外国人からの在留資格の変更の申請について請訓し、その回訓を得たことなどの事情の下においては、国家賠償法1条1項に規定する過失はない。

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