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行政事件 裁判例集

事件番号

 令和1(行ウ)539

事件名

 法人税等更正処分等取消請求事件、更正をすべき理 由がない旨の通知処分取消請求事件

裁判年月日

 令和5年2月17日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 同一の法人税の納税義務について、増額更正処分及び更正の請求に理由がない旨の通知処分がされた場合における、更正の請求に理由がない旨の通知処分の取消しを求める訴えの利益

2 公益法人等が収益事業以外の事業に属する資産として取得した有価証券につき、当該公益法人等が普通法人に移行した後、同一銘柄の有価証券を追加取得せずに、当該有価証券を譲渡した場合における法人税法施行令119条の2第1項1号にいう「その取得をした有価証券の取得価額」の意義

3 公益法人等が普通法人への移行前に収益事業に属しない減価償却資産について計上した減価償却費の金額は、法人税法31条4項にいう「所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額」に該当するか

4 法人税法施行令131条の6の定める移行時資産等に該当する減価償却資産に係る、同施行令48条1項1号イ⑵(平成23年政令第379号による改正前のもの及び令和2年政令第207号による改正前のもの)にいう「取得価額(既にした償却の額で各事業年度の所得の金額…の計算上損金の額に算入された金額…を控除した金額)」の意義

裁判要旨

 1 同一の法人税の納税義務について、増額更正処分及び更正の請求に理由がない旨の通知処分がされた場合、税額等を争う納税者が、更正の請求に理由がない旨の通知処分の取消しを求める訴えは、訴えの利益を欠くものとして不適法である。

2 公益法人等が収益事業以外の事業に属する資産として取得した有価証券につき、当該公益法人等が普通法人に移行した後、同一銘柄の有価証券を追加取得せずに、当該有価証券を譲渡した場合であっても、当該譲渡に係る譲渡損益の計算において移動平均法を用いて譲渡原価を計算するときは、法人税法施行令119条の2第1項1号にいう「その取得をした有価証券の取得価額」とは、同施行令119条1項に基づき計算される当該有価証券の取得価額をいう。

3 公益法人等が普通法人への移行前に収益事業に属しない減価償却資産について計上した減価償却費の金額は、法人税法31条4項にいう「所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額」に該当する。

4 法人税法施行令131条の6の定める移行時資産等に該当する減価償却資産であっても、当該減価償却資産に係る同施行令48条1項1号イ⑵(平成23年政令第379号による改正前のもの及び令和2年政令第207号による改正前のもの)にいう「取得価額(既にした償却の額で各事業年度の所得の金額…の計算上損金の額に算入された金額…を控除した金額)」とは、同施行令54条に基づき計算される当該減価償却資産の取得価額から、既にした償却の額で各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額を控除した金額をいう。

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