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行政事件 裁判例集

事件番号

 令和2(行ウ)344

事件名

 LINEを用いたオンラインによる住民票の写し交付請求サービス適法確認請求事件

裁判年月日

 令和4年12月8日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 電子署名及び電子証明書の併用による本人確認を経ないオンラインでの住民票の写しの交付請求が住民基本台帳法及び総務省関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則等に違反する旨の通知(本件通知)に対する違法確認訴訟の確認の利益
2 住民基本台帳の一部の写しの閲覧並びに住民票の写し等及び除票の写し等の交付に関する省令の改正(本件省令改正)により、電子署名及び電子証明書の併用による本人確認以外の方法によるオンラインでの住民票の写しの交付請求が省令違反となったとの事情の下で提起された、オンラインでの住民票の写しの交付請求サービス(本件サービス)を適法に提供することができる地位の確認訴訟に係る確認の利益
3 本件省令改正が、授権規定たる情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(デジタル手続法)6条1項の委任の範囲を超えるものか

裁判要旨

 1 本件通知は、本件サービスを市町村に対し適法に提供することができる原告の権利又は地位に対し実質的な影響を及ぼすものとまではいえないから、本件通知の違法確認請求に係る確認の利益は認められない。
2 本件省令改正により本件サービスは明示的に法令違反となり、実際にも、本件サービスを現に導入していた者が本件省令改正の施行と同時にこれを停止せざるを得なくなったなど判示の事情の下では、原告による地位確認請求には確認の利益が認められる。
3 本件省令改正の授権規定たるデジタル手続法6条1項は、オンラインによる申請手続の実現の具体化の方法を主務大臣の専門的・技術的な判断に委ねているところ、オンラインには対面と異なり常になりすましやデータの改ざん等の特有のリスクがある一方、住民票の写しの交付請求に当たっては、不当な手段による住民票の写しの交付を阻止することが住民基本台帳法上も要請されていることなどからすれば、電子署名及び電子証明書の併用による厳格な本人確認手続と同程度のもののみをオンラインによる住民票の写しの申請手続における具体的方法として許容し、それ以外の手段による申請手続を排除する旨を内容とする本件省令改正が住民基本台帳法及びデジタル手続法の趣旨目的等と適合しないものとはいえず、本件省令改正は、その授権規定であるデジタル手続法6条1項の委任の範囲を超えるものではない。

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