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行政事件 裁判例集

事件番号

 令和1(行ウ)577

事件名

 事業計画変更取消請求事件

裁判年月日

 令和6年12月20日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 土地区画整理事業の施行地区内の宅地上の建物の所有者及び居住者が土地区画整理事業の事業計画の変更決定の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例

2 土地区画整理事業の事業計画の事業施行期間の定めが土地区画整理法54条、6条9項に反して違法とはいえないとされた事例

3 土地区画整理事業の事業計画の資金計画の定めが土地区画整理法54条、6条11項、土地区画整理法施行規則10条、地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に反して違法とはいえないとされた事例

裁判要旨

 1 土地区画整理事業の施行地区内の宅地上の建物の所有者及び居住者は、同所有者が同宅地を正当な権原に基づいて使用していることや、同居住者が同宅地上の建物の賃借人又は使用借主であるか、少なくとも建物の正当な占有権原を有する者の占有を補助し、当該建物を平穏に自己の居住の用に供していることなど判示の事情の下では、土地区画整理事業の事業計画の変更決定の取消訴訟の原告適格を有する。

2 土地区画整理事業の事業計画の事業施行期間の定めが、施行者である市から委託を受けて作成された報告書の移転実施計画に係る事業期間より短いものの、同事業計画が、同報告書においては考慮されていなかった補助金の導入や移転手法の活用等により、同報告書よりも年度ごとの事業量を増加させたことなどからすれば、同事業施行期間の定めは、市の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとはいえず、土地区画整理法54条、6条9項に反して違法とはいえない。

3 土地区画整理事業の事業計画の資金計画の定めにおいて、施行者である市の負担金が収入予算の半額以上を占めているものの、市の財政状況等に鑑みれば、市がその財源として都市計画税収入及び市債を予定していることが不合理であるとはいえないことなどからすれば、同資金計画の定めは、市の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法とはいえず、土地区画整理法54条、6条9項に反して違法とはいえない。

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