裁判例結果詳細

事件番号

平成15(行コ)193

事件名

遺族補償費等不支給処分取消請求事件(通称 立川労基署長遺族補償給付等不支給処分取消)

裁判年月日

平成16年12月16日

裁判所名・部

東京高等裁判所 第8民事部

結果

その他

高裁判例集登載巻・号・頁

原審裁判所名

東京地方裁判所

原審事件番号

平成11(行ウ)80

判示事項

裁判要旨

冠動脈硬化の基礎疾患を有する運送会社の従業員(当時55歳)が冷凍冷蔵車内において積荷の搬出作業に従事中に虚血性心疾患(急性心筋梗塞又は心筋虚血に伴う致死性不整脈)を発症して死亡した場合において,上記従業員は,毎週月曜日から金曜日まではトラックの運転手として同一作業所内の工場と倉庫との間の部品,資材等の運搬業務に従事し,土曜日は会社の指定する他の業務に従事していたこと,上記従業員は,発症日当日(土曜日),会社の指示により,乳製品を積載した冷凍冷蔵車を運転して流通センターまでの80?弱の距離を約3時間かけて走行し,到着後乳製品を冷凍冷蔵車から冷蔵倉庫に搬出する作業を開始したが,その直後に上記疾病を発症したこと,上記従業員は,30歳のころから重症の高血圧症にり患し,心筋梗塞の既往症があり,虚血性心疾患の危険因子を複数有していたが,その後の治療により,同人の健康状態は改善傾向にあり,運動能力は同年齢の男性と比べて普通の範囲内にあると診断されるようになり,発症日直前の症状も安定していたこと,発症日当日の外気温と冷凍冷蔵車のコンテナ内及び冷蔵倉庫内の気温との差は20度前後に及んでいたところ,医学上の知見として,寒冷への暴露や荷物運びによる負荷は急激な血圧上昇や冠動脈のれん縮を誘発し,虚血性心疾患の発症要因となることが知られていることなど判示の事実関係の下においては,上記従業員は,業務により過重な負荷を受け,基礎疾患である冠動脈硬化の自然の経過を超えて虚血性心疾患を発症したものということができ,同人の死亡は,労働者災害補償保険法にいう業務上の死亡に当たる。

全文

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