裁判所技官(医師)採用案内

裁判所で働く医師の仕事について

家庭裁判所の法律手続等に医学的知見を活用して関与する精神科医、裁判所職員の健康管理に携わる内科医や精神科医を募集しています

裁判所で働く医師とは

全国各地の裁判所において、国家公務員である裁判所技官(医師)として、医学的知見を生かして活躍しています。
裁判官をはじめとする他の裁判所職員と連携し、「家庭裁判所の家事事件・少年事件への関与」と「裁判所職員の心身の健康の保持増進」に取り組みます

家庭裁判所の家事事件・少年事件への関与

主に精神科医が担当されています。
離婚や子どもの親権・監護権をめぐる争い、養子縁組の許可、後見人の選任など、家庭に関する事項を解決するための手続(家事事件)、非行を起こした少年の立ち直りに向けた審理手続(少年事件)に関与します。いずれの事件も法律的判断のみでなく、その背景にある事件関係者・少年等の人間関係や心理的側面にも目を向けて解決・更生を図っていくことが重要になります。そのため、家庭裁判所では、法律のエキスパートである裁判官や書記官のほか、行動科学のエキスパートである家庭裁判所調査官、そして、医学のエキスパートである裁判所技官(医師)などが配置されています。
その職務として、裁判官や書記官、家庭裁判所調査官、看護師などと連携しながら、例えば、裁判官の審理運営や家庭裁判所調査官の調査について医学的知見に基づく意見・助言を行ったり、心身に不調が生じている事件関係者の協議に同席して適切に話し合える状態にあるか見立てたり、非行を起こした少年・保護者に違法薬物の危険性や被害者に負わせた傷害の重篤さなどを医学的知見に基づいて指導したりしています。

裁判所職員の心身の健康の保持増進

主に内科医や精神科医が担当されています。
裁判所職員が心身不調になることを予防し、健康で安心して働くことができるよう、専門的立場から、裁判所職員の健康管理業務に従事します。
その職務として、看護師や人事部門のスタッフと連携しながら、例えば、職員の健康相談、健康診断結果の措置区分の判定、心身に不調がある職員との面談、職員の職場復帰に向けた相談対応、ストレスチェックの結果に即した職員面談、健康の保持増進を目的とした研修などを行なっています。
近年、働く人の健康の重要性が認識され、積極的な取り組みを行う企業等が増加していますが、裁判所においても、職員の健康増進は、職員のWell-beingの実現の土台づくりとして極めて重要であると認識しており、職員の健康管理業務には力を入れて取り組んでいます。

勤務条件・応募資格

勤務条件について

 【常勤】

 ○給与:年収 約1,200万円
       ※R7.4.1現在。東京勤務、経験年数20年程度の場合。地域手当・期末勤勉手当等を含む。
        なお、大学の卒業時期、医師免許取得時期及び経歴等により年収は変動します。
 ○勤務時間:1日7時間45分
       土日祝日や年末年始は休みであり、夜間当直や緊急呼出はありません。
 ○休暇:年次休暇は年間20日(残日数は20日を限度に翌年に繰り越し)
     その他に、特別休暇(夏季休暇、結婚休暇、忌引休暇など)、病気休暇を取得することができます。
 ○柔軟な働き方、妊娠・出産・育児・介護と仕事の両立支援制度
  育児休業や育児時間、産後パパ育休、産前・産後休暇、配偶者出産休暇、育児参加のための休暇、子の看護等休暇、フレックスタイム制、早出遅出勤務、
  休憩時間短縮制度、介護休暇、介護時間などを利用することができます。

 【非常勤】

 ○任期:原則2年(更新あり)
 ○給与等:経歴等に応じて給与が決定されます(平均的な時間給:約1万円)。
      また、通勤手当に相当する給与が支給されます。
 ○勤務時間:各裁判所が募集する勤務時間(希望する勤務の曜日や時間帯に応じて相談可)
       土日祝日や年末年始は休みであり、夜間当直や緊急呼出はありません。
 ○休暇等:有給休暇(※1)等
 ○福利厚生:社会保険・災害補償:健康保険(※2)・厚生年金保険(※2)、雇用保険(※2)、災害補償
  (※1)勤務日数に応じて、1年間につき10日以内
     (勤務開始日から6か月継続して勤務し、その間の全勤務日数のうち8割以上出勤した場合
  (※2)1週間当たりの勤務時間が20時間以上の条件を満たす場合。

応募資格について

 医師免許を有する者
 なお、次のいずれかに該当する方は応募できません。
 ①日本の国籍を有しない者
 ②国家公務員法第38条の規定によりに国家公務員となることができない者
   ・拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
   ・懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
   ・日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を​結成し、又はこれに加入した者

外部の求人掲載サイト

以下のサイトにおいて、各地の裁判所の求人情報を御確認いただけます。

現職からのメッセージ

精神科医

【主な業務】
家庭裁判所の精神科医師は、家事事件や少年事件において、調停や審判の期日への立会や家庭裁判所調査官による調査に同席をして、精神医学的見地から関係者の心身の状態の診立てを行って裁判官に報告するほか、事件資料を読みこんで分析したり、関係職種からの事例に関する相談を受けて助言などを行います。また、裁判所職員の健康管理業務も担います。

【通常の医師業務との違い・やりがい・魅力的な部分】
病院勤務との最たる違いは、投薬治療などの医療行為は基本的に行わないところです。事件関係業務では、裁判官の指示に基づき、家事調停委員や家庭裁判所調査官、裁判所書記官などと協働して業務に当たります。当直業務はなく時間に追われることもありません。事件当事者は、精神的な不調や心理的な問題を抱えている場合が少なくありません。精神科医師としての知見を活かして望ましい解決に向けてのお手伝いができることが、この仕事のやりがいであり魅力的な所です。

【興味を持っている医師への一言】
病院勤務とはまた違った貴重な経験ができるとともに、医師としての専門性を活かしての社会貢献ができる仕事です。ご関心のある先生はぜひご連絡ください。

内科医

【主な業務】
主な職務としては、①職場健診や人間ドック健診結果の判定及び結果に基づき精査・治療へ導入するための個別面談や保健指導を行うこと、②入院や治療(メンタル疾患を除く)により仕事を休んでいた職員に対して、職場復帰時や復帰後に職場の管理職員等の同席の下、業務調整のための面談を行うこと、③超過勤務が多い職員に対し、健康障害の予防的観点から面談を行うこと、④職員の健康相談に応じたり、講習会等を通して健康管理にまつわる情報提供を行うことである。

【通常の医師業務との違い・やりがい・魅力的な部分】
健診結果に対する保健指導や面談においては、いかに健康管理への関心を引き出せるかがやりがいであり、課題でもあります。職員を取り巻く職場環境の変化(転勤や業務内容の変化など)、生活のリズムの変化(通勤状況、睡眠不足など)等を踏まえて、より個別の状況に寄り添った指導を行うことにより、健康管理への動機付けや健診受検の重要性等を伝え、職場の健康管理に大事な役割を担います。また、職場復帰や業務調整の面談では、健康障害を抱えていても安心して仕事と治療の両立を図れるよう支援し、健康回復の過程に立ち会えることは喜びであり、やりがいを感じます。

【興味を持っている医師への一言】
一般医療機関の診療業務では経験できないことに触れ、社会や職場について改めて深く考えさせられる機会を得て、より医師としての成長を図れる職場だと思います。興味のある方は是非お問合せください。

よくある質問

家庭裁判所の家事事件・少年事件への関与について

法律知識はありませんが、それでも裁判所で働くことができますか。

実務に必要な知識は、採用後に習得いただけるよう配慮しますので、ご安心ください。

裁判所技官(医師)をサポートしてくれるスタッフはいますか。

看護師がいるほか、裁判官や裁判所書記官、家庭裁判所調査官などと協力して働きます。病院とは異なりますが、チームで働くことは変わりありません。不明な点があれば、所属部署の職員に随時お尋ねいただけます。

少年から脅されたり暴力を振るわれたりすることはありませんか。

家庭裁判所調査官等が同席しながら関与することが多く、少年から危害を加えられるようなことはありません。ご心配なときには、随時ご相談いただければと思います。

家事事件での職務について、具体的に教えてもらえませんか。

家事審判や家事調停の進行にあたり、事件関係人に精神科領域の課題(例えば自傷他害のリスクがうかがえるなど)があるような場合、裁判官の命に基づき、事件関係人の心身状況について見立て、裁判官に報告したり意見を述べたりします。そのほか、家庭裁判所調査官が行う調査にあたり、留意すべき事柄などについて、医学的見地からアドバイスしたりします。

少年事件での職務について、具体的に教えてもらえませんか。

非行が精神的な疾患・発達特性に起因することなどがうかがわれるとき、裁判官の命に基づき、家庭裁判所調査官の調査に同席するなどし、少年の心身状況について見立て、裁判官に報告したり意見を述べたりします。そのほか、家庭裁判所調査官が行う調査にあたり、疾病の専門的な解説を行ったり疾病と非行の関連などについて医学的見地からアドバイスしたりします。

家事事件の当事者や少年事件の少年に医療行為を行うことはありますか。

当事者少年に対る医療行為予定されていませんただし、来庁者が急遽体調良になった場合には、応急手当てどに携わってもらうことがあます。

民事裁判や刑事裁判に関与することもありますか。

職務として民事裁判や刑事裁判に関与する予定はありません。

裁判所職員の心身の健康の保持増進について

産業医の資格がなければ、応募できませんか。

産業医の資格の有無にかかわらず応募いただけます。実際、産業医資格を有さない医師の方々も数多く働いています。

裁判所職員の健康管理業務の内容について、具体的に教えてもらえませんか。

体調を崩していた職員の復帰に向けた面談、復帰後の配慮内容に関する面談、それに伴う人事担当者との打合せ、健康診断に伴う指導区分の判定、長時間労働に及んだ場合の面接指導、ストレスチェックの結果に即した職員面談、職員に対する保健指導・健康相談などを行っています。ときには、健康管理をテーマとした研修などに携わることもあります。

健康管理業務のやりがい・魅力は何でしょうか。

医療機関と異なり、職員に病気の兆候がないか、治療が必要な場合に仕事をどのように両立させるかなど、職場との調整も必要となります。医療機関の治療に限定されない視野の広がりや経験が得られ、キャリアアップにもつながるのではないでしょうか。また、国民に対して質の高い司法サービスを提供するためには、職員一人一人が健康で、その持てる能力を最大限に発揮できることが不可欠となりますが、健康管理医として職員の健康管理業務に関わることを通じて、司法を支えることができる点にもやりがいを感じることができるのではないでしょうか。

その他

全国に裁判所がありますが、転勤はありますか。

基本的に採用された裁判所での勤務になります。

裁判手続に関与するとなると、何らかの賠償責任を負わされるようなことはないのですか。​

裁判所技官(医師)の職務は、国の行為として行われるものであり、原則、医師個人が賠償責任を負うことはありません。

お問い合わせ先

最高裁判所事務総局人事局総務課 担当:職員任用第二係

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