裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成16(行コ)66
- 事件名
債務負担行為差止等,損害賠償,共同訴訟参加,神戸空港建設事業関連予算の支出差止等,神戸空港建設事業関連予算の支出差止請求控訴事件(原審 神戸地方裁判所平成11年(行ウ)第43号,平成12年(行ウ)第15号,同第18号,同第46号,平成13年(行ウ)第23号,平成15年(行ウ)第5号,同第39号)
- 裁判年月日
平成17年7月27日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第1項1号に基づく市長に対する神戸空港建設に関する一切の債務負担行為の差止請求及び同項4号に基づく元市長個人に対する損害賠償請求のうち,後者の請求を住民監査請求に基づく出訴期間の経過後に取り下げるとともに,前記改正後の同号に基づき市長に対し,元市長個人及び現市長個人に対して前記債務負担行為によって市が被る損害を回復するために必要な措置をとるよう請求することを求める請求を追加する訴えの交換的変更を行った場合につき,変更後の請求に係る訴えも出訴期間を遵守しており適法であるとされた事例 2 神戸空港建設関連事業に関する予算支出は地方自治法及び地方財政法の定める公金支出要件を充たしていないから,前記予算支出に関する財務会計上の行為は違法であるなどとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項1号に基づき市長に対してされた前記事業に関する債務負担行為及び支出命令発令の差止請求が,いずれも棄却された事例 3 神戸空港建設関連事業に関する予算支出は地方自治法及び地方財政法の定める公金支出要件を充たしていないから,前記予算支出に関する財務会計上の行為は違法であるなどとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき元市長個人に対してされた損害賠償請求及び前記改正後の同号に基づき市長に対し現市長個人に対して損害賠償請求をすることを求めた請求が,いずれも棄却された事例
- 裁判要旨
1 平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第1項1号に基づく市長に対する神戸空港建設に関する一切の債務負担行為の差止請求及び同項4号に基づく元市長個人に対する損害賠償請求のうち,後者の請求を住民監査請求に基づく出訴期間の経過後に取り下げるとともに,前記改正後の同号に基づき市長に対し,元市長個人及び現市長個人に対して前記債務負担行為によって市が被る損害を回復するために必要な措置をとるよう請求することを求める請求を追加する訴えの交換的変更を行った場合につき,前記差止請求と変更後の請求とはいずれも市長を被告とするものであり,変更後の請求もその実質は損害賠償を求める請求と解され,前記取下げに係る損害賠償請求と同じ性質のものと認められる上,内容的にも中心的な争点を共通とするのみならず,公金支出の差止請求,公金の支出及びこれを原因とする損害賠償の請求は,いわば一連の流れであって,当初の訴え提起の時点において,実質的には,前記債務負担行為がされた場合にはその違法を主張する旨の意思が表明されていたと解することができるから,変更後の請求に係る訴えを当初の訴え提起の時に提起されたものと同視することができる特段の事情があるとして,変更後の請求に係る訴えも出訴期間を遵守しており適法であるとした事例 2 神戸空港建設関連事業に関する予算支出は地方自治法及び地方財政法の定める公金支出要件を充たしていないから,前記予算支出に関する財務会計上の行為は違法であるなどとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項1号に基づき市長に対してされた前記事業に関する債務負担行為及び支出命令発令の差止請求につき,前記予算支出に関する財務会計行為の原因行為たる前記事業に存する違法事由の内容及び程度が予算執行の適正の見地から看過し得ないものであるとは認められず,また,前記予算支出に関する財務会計上の行為の際の市長の判断が,全く事実の基礎を欠くものであるとも社会通念に照らして著しく妥当性を欠くことが明らかであるとも認められず,同判断が,著しく合理性を欠き,市長に与えられた広範な裁量権を逸脱又は濫用するものとはいえないから,前記財務会計上の行為自体にも違法性は認められず,結局,前記事業に関して行われた債務負担行為及び予算支出が違法であるとは認められないなどとして,前記各請求をいずれも棄却した事例 3 神戸空港建設関連事業に関する予算支出は地方自治法及び地方財政法の定める公金支出要件を充たしていないから,前記予算支出に関する財務会計上の行為は違法であるなどとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき元市長個人に対してされた損害賠償請求及び前記改正後の同号に基づき市長に対し現市長個人に対して損害賠償請求をすることを求めた請求につき,前記予算支出に関する財務会計行為の原因行為たる前記事業に存する違法事由の内容及び程度が予算執行の適正の見地から看過し得ないものであるとは認められず,また,前記予算支出に関する財務会計上の行為の際の市長の判断が,全く事実の基礎を欠くものであるとも社会通念に照らして著しく妥当性を欠くことが明らかであるとも認められず,同判断が,著しく合理性を欠き,市長に与えられた広範な裁量権を逸脱又は濫用するものとはいえないから,前記財務会計上の行為自体にも違法性は認められず,結局,前記事業に関して行われた債務負担行為及び予算支出が違法であるとは認められないなどとして,前記各請求をいずれも棄却した事例
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