裁判例結果詳細

事件番号

平成16(行ウ)494等

事件名

行政処分取消請求事件(第一事件),異議却下決定取消請求事件(第二事件)

裁判年月日

平成17年6月15日

裁判所名

東京地方裁判所

分野

行政

判示事項

金融庁長官による格付機関の指定格付機関としての指定の取消しを求める訴えについて,当該指定格付機関が付与した格付を参考にするなどして債券投資を行う一般投資家は原告適格を有しないとされた事例

裁判要旨

金融庁長官による格付機関の指定格付機関としての指定の取消しを求める訴えについて,指定格付機関の指定は,一定の行政目的のために金融庁が利用する民間格付機関を明らかにするものにすぎず,発行登録制度の利用適格要件に格付基準が導入されたのは,資本市場が発展していく上で格付の定着が重要な前提と考えられたため,格付が投資家に一層利用され,定着することを企図してのことであり,そもそも,債券の格付は債権の元本及び利息が当初の契約どおり投資家に支払われる確実性に関する格付機関の過去の一時点における意見にすぎず,その評価自体絶対的なものではない上,何らかの保証や法的効果が付与されるという性質のものではなく,これは,指定格付機関による格付であっても異なるところはなく,また,債券投資の性質上,一般投資家は,あくまでも自己責任の下,情報収集の一環として格付がそのような性質のものであることを前提として投資判断をすることが予定されているのであるから,企業内容等の開示に関する内閣府令(昭和48年大蔵省令第5号)1条13号の2,9条の4第5項1号ホ等が指定格付機関による格付に関し,個々の一般投資家の権利,利益を保護すべきとする趣旨を含むと解すべき根拠はなく,そのほか,指定格付機関の指定が,一般投資家の権利,利益を保護すべきものとする趣旨を含むと解すべき指定格付機関の指定の関係法条,あるいはこれと目的を同じくする関係法令は存在しておらず,証券取引法が,指定格付機関の指定によって,一般投資家の権利,利益を具体的に保護していると解することもできないとして,当該指定格付機関が付与した格付を参考にするなどして債券投資を行う一般投資家は,行政事件訴訟法9条2項に規定する事項を参酌,勘案しても,前記訴えについて原告適格を有しないとされた事例

全文

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