裁判例結果詳細

事件番号

平成8(行ウ)23

事件名

損害賠償等請求事件

裁判年月日

平成17年5月24日

裁判所名

岡山地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 県が公園用地として賃借し,公園事業を推進するため設立された第三セクター方式による株式会社に対して転貸等している土地が,地方自治法244条1項の「公の施設」に当たらないとされた事例 2 県が公園用地として賃借している土地の賃借権が,普通財産に当たるとされた事例 3 県が,公園事業を推進するため設立された第三セクター方式による株式会社に対し,公園用地として賃借した土地の一部を転貸し,残部等を無償で貸し付けることが,地方自治法232条の2に違反しないとされた事例

裁判要旨

1 県が公園用地として賃借して公園事業を推進するため設立された第三セクター方式による株式会社に対して転貸している土地につき,当該公園は,県の観光の振興を図る等の経済的効果を目的として建設された観光拠点としての性格が強いものであって,前記公園事業は,住民の利用に供し,住民の福祉を増進する目的を持っていることを否定できないものの,道路,公園,公民館のような多数の住民に対して均等な役務を提供することを目的とし,その公正な管理を確保する必要がある「公の施設」とは認め難いとして,地方自治法244条1項の「公の施設」に当たらないとした事例 2 県が公園用地として賃借している土地の賃借権につき,同賃借権は,建物所有目的,期間50年間の定期借地権であり,物権に準じた経済的価値を有し,現実に公有財産として管理する必要があって,あえて地上権等と区別して取り扱うべき現実的根拠に乏しいから,地方自治法(平成13年法律第75号による改正前)238条1項4号の「地上権」等に準じ,同項にいう公有財産と解され,当該公園事業は,住民の利用に供し,住民の福祉を増進する目的を持っていることを否定できないものの,県の観光の振興を図る等の経済的効果を目的として建設された観光拠点としての性格が強いという前記公園事業の運営形態や目的等に照らすと,前記賃借権は,県が「公用」に供する財産にも「公共の用」に供する財産にも該当するものとはいえず,しかも,これらに供する旨の決定もないとして,普通財産に当たるとした事例 3 県が,公園事業を推進するため設立された第三セクター方式による株式会社に対し,公園用地として賃借した土地の一部を転貸し,残部等を無償で貸し付けることにつき,総体として実質的にみれば,県が,土地全部を賃借した上,割安な転借料で前記第三セクターに転貸し,賃借料と転貸料との差額を肩代わりして支払っていると評価し得るから,前記差額賃料の負担は地方自治法232条の2の「補助」に該当するが,前記差額賃料相当の「補助金」支出については,事後的客観的に考察すれば,財政上の余裕に乏しい中での支出であること,当該公園が大型レジャーランド,アミューズメント系レジャーランド施設の色彩を強く有し,補助を受ける前記第三セクターは営利企業の性格を有すること等に照らし,公益上の必要性の存在あるいはその維持に疑問があるとしても,未だ前記公園運営の公益的側面を否定できないことや,公設民営による運営の政策決定をするに至った経緯,議会の審議,議決や選挙等による民意等にかんがみると,県知事において,公益上の必要性を判断するに当たり,その裁量権の濫用ないし逸脱があるとまではいえないとして,同法232条の2に違反しないとした事例

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