裁判例結果詳細

事件番号

平成16(行コ)107

事件名

違法公金支出金返還請求控訴事件(原審・京都地方裁判所平成14年(行ウ)第16号〈第1事件〉,同第36号〈第2事件〉)

裁判年月日

平成17年5月12日

裁判所名

大阪高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 地方自治法242条1項所定の監査請求に添えるべき「証する書面」の内容 2 市議会議員が行った海外行政視察は観光目的の旅行であるから,その経費の支出は違法又は不当な支出であるとしてされた住民監査請求が,同監査請求にあたって添付された当該視察の支出決定書,従前に行われた海外行政視察の旅程表等が当該視察が観光目的と推認する一応の根拠と認められ,地方自治法242条1項所定の「証する書面」の添付があったものとして,適法とされた事例 3 市議会議員の海外行政視察のための公金の支出が違法であるとして地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づきした議員個人に対する不当利得返還請求が,視察目的と何ら無関係に組まれた日程に限り,前記公金の支出は相当性を欠くものとして,裁量権の逸脱又は濫用があるとして,一部認容された事例

裁判要旨

1 地方自治法242条1項所定の監査請求に添えるべき「証する書面」は,監査を求める財務会計行為上の行為等が違法であることを証明するに足りる証拠である必要はなく,監査を求めている根拠として一定の事実があることを示す書面であれば足りる。 2 市議会議員が行った海外行政視察は観光目的の旅行であるから,その経費の支出は違法又は不当な支出であるとしてされた住民監査請求につき,請求人は,同監査請求にあたって,当該視察の支出決定書及び支出命令書並びに従前に行われた海外行政視察の旅程表を添付しているところ,同支出決定書及び支出命令書により訪問先都市が一般の観光旅行の目的地となる都市であることがわかり,また,同旅程表から行政視察が滞在時間のすべてあるいは大部分を要するものではないことがうかがえるから,同様の海外視察である当該視察においても,その点は同一であると推認することも可能であって,これらを併せて,当該視察が観光目的と推認する一応の根拠というべきであり,そうすると,その程度をもって,単なる憶測や主観を超えた根拠があるとすることができ,当該視察について,「証する書面」の添付があったものと解されるとして,前記監査請求を適法とした事例 3 市議会議員の海外行政視察のための公金の支出が違法であるとして地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づきした議員個人に対する不当利得返還請求につき,前記行政視察の日程の一部が,視察目的と何ら無関係に専ら観光などを目的として組まれており,当該日程に係る公金の支出は相当性を欠くものとして,裁量権の逸脱又は濫用があるとして,同日に支出された費用のうち,宿泊費を除いた額について,前記請求を認容した事例

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