裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
行政事件
- 事件番号
平成15(行コ)59
- 事件名
公金支出差止等住民訴訟控訴事件(原審・津地方裁判所平成15年(行ウ)第9号)
- 裁判年月日
平成17年4月6日
- 裁判所名
名古屋高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 水資源開発公団が建設した長良川河口堰の建設負担金のために県が一般会計から工業用水道事業会計(特別会計)に支出することは,地方公営企業の独立採算の原則に反し違法であるとして,県知事らに対してされた地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項1号に基づく前記支出の差止請求が,棄却された事例 2 水資源開発公団が建設した長良川河口堰の建設負担金のために県が一般会計から工業用水道事業会計(特別会計)に支出したことが,地方公営企業の独立採算の原則に反し違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,元県知事個人に対してされた損害賠償請求,及び前記改正後の同号に基づき,県知事に対し元県知事個人に対して損害賠償請求をすることを求めた請求が,いずれも棄却された事例
- 裁判要旨
1 水資源開発公団が建設した長良川河口堰の建設負担金のために県が一般会計から工業用水道事業会計(特別会計)に支出することは,地方公営企業の独立採算の原則に反し違法であるとして,県知事に対してされた地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項1号に基づく差止請求につき,地方公営企業がその活動資金を調達するために,一般会計又はその他の特別会計から出資を受け,長期借入れをすることは,その対価として納付金の納付や利子の支払を前提としている点で,通常の経済的取引を変わらず独立採算の原則に触れるものではないし,出資を受けたり,長期借入れをすることについて,補助を受ける場合のような特別の条件は付されていないから,地方公営企業法18条に基づく出資は,利益状況に応じて納付金の納付を受けることのほかは何らの条件を付けることなく,県の裁量によりなし得るものであるところ,現時点では前記河口堰を利用する工業用水道事業が事業化されておらず,前記特別会計には前記負担金支払の余裕がないために前記出資に至ったこと,前記河口堰開発水による工業用水道の事業化の可能性がないとは言えないことからすれば,県が前記出資をすることには合理的理由があるとして,前記請求を棄却した事例 2 水資源開発公団が建設した長良川河口堰の建設負担金のために県が一般会計から工業用水道事業会計(特別会計)に支出したことが,地方公営企業の独立採算の原則に反し違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,元県知事個人に対してされた損害賠償請求,及び前記改正後の同号に基づき,県知事に対し元県知事個人に対して損害賠償請求をすることを求めた請求につき,地方公営企業がその活動資金を調達するために,一般会計又はその他の特別会計から出資を受け,長期借入れをすることは,その対価として納付金の納付や利子の支払を前提としている点で,通常の経済的取引を変わらず独立採算の原則に触れるものではないし,出資を受けたり,長期借入れをすることについて,補助を受ける場合のような特別の条件は付されていないから,地方公営企業法18条に基づく出資は,利益状況に応じて納付金の納付を受けることのほかは何らの条件を付けることなく,県の裁量によりなし得るものであるところ,現時点では前記河口堰を利用する工業用水道事業が事業化されておらず,前記特別会計には前記負担金支払の余裕がないために前記出資に至ったこと,前記河口堰開発水による工業用水道の事業化の可能性がないとは言えないことからすれば,県が前記出資をすることには合理的理由があるとして,前記請求をいずれも棄却した事例
- 全文