裁判例結果詳細

事件番号

平成15(行コ)8等

事件名

処分取消,損害賠償請求控訴,同附帯控訴事件(原審・鹿児島地方裁判所平成13年(行ウ)第2号,同年(行ウ)第8号,平成12年(ワ)第1259号)

裁判年月日

平成17年1月28日

裁判所名

福岡高等裁判所 宮崎支部

分野

行政

判示事項

1 県知事から岩石採取計画認可を受けた業者が当該採石場地先の海岸に石材搬出用の桟橋を設置するため,海岸法37条の4に基づいてした一般公共海岸区域占用許可申請に対し,県の土木事務所長がした不許可処分の取消請求が,認容された事例  2 岩石採取計画認可申請に対して県知事による不認可処分を受け,公害等調整委員会に対する裁定申請をして同処分の取消裁定及びそれに基づく県知事の前記計画の認可処分を受けた採石業者が,前記不認可処分及びその後した申請に対して県の土木事務所長がした国有財産の使用収益不許可通知及び一般公共海岸区域占用不許可処分が違法であるとしてした国家賠償請求が棄却された事例

裁判要旨

1 県知事から岩石採取計画認可を受けた業者が当該採石場地先の海岸に石材搬出用の桟橋を設置するため,海岸法37条の4に基づいてした一般公共海岸区域占用許可申請に対し,県の土木事務所長がした不許可処分の取消請求につき,前記海岸は,一般公共海岸区域に当たるとともに,国有財産法3条2項に規定する行政財産にも当たり,その占用は,同法(平成18年法律第35号による改正前)18条3項にいう使用又は収益に当たるものであるところ,前記区域の占用許可について,一般法である同項の適用を排除するような具体的な許可基準が存在しなかったのであるから,前記許可についても,同項の適用があると解するのが相当であり,同項の定めを受けて定めた県管理規則に一般海浜地の使用又は収益を許可することができる場合として規定する事由の一つが存在し,かつ,その占用によって前記海岸の用途又は目的を妨げることとならないときは,その占用を許可しなければならず,また,その占用によってその用途又は目的を妨げることとなるか否かについては,海岸法の目的に照らしてこれを判断するのが相当であるとした上,前記海岸に前記桟橋を設置するなどしてこれを占用することについて,海岸の防護,海岸環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用を妨げることとなるような事実を認めるに足りる証拠はなく,前記の許可事由が存在し,かつ,前記海岸の用途又は目的を妨げることとならない場合に当たるということができるから,前記土木事務所長は,前記の申請を許可しなければならず,前記不許可処分は違法であるとして,前記請求を認容した事例  2 岩石採取計画認可申請に対して県知事による不認可処分を受け,公害等調整委員会に対する裁定申請をして同処分の取消裁定及びそれに基づく県知事の前記計画の認可処分を受けた採石業者が,前記不認可処分及びその後した申請に対して県の土木事務所長がした国有財産の使用収益不許可通知及び一般公共海岸区域占用不許可処分が違法であるとしてした国家賠償請求につき,前記各申請をした者は,これらの申請に係る認可処分又は許可処分がされることにより,初めて当該認可又は許可に係る権利等を創設的に取得するのであって,これらの申請に係る認可処分又は許可処分の存在を離れて当該認可又は許可に係る権利等を有するものと解することはできないから,前記の不認可処分,不許可通知及び不許可処分がされたことにより,前記採石業者の有する権利又は法律上保護すべき利益の侵害があったものとすることはできないとして,前記請求を棄却した事例

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