裁判例結果詳細

事件番号

平成15(行コ)34等

事件名

損害賠償請求控訴事件,同附帯控訴事件(原審・京都地方裁判所平成9年(行ウ)第25号)

裁判年月日

平成16年12月9日

裁判所名

大阪高等裁判所

分野

行政

判示事項

市が,公共土木事業用地の取得に伴う登記,測量及び調査の業務につき,土地家屋調査士の団体,司法書士の団体及び測量業者(測量士)の団体の3団体との間で委託契約を締結したが,同各契約は,予め一定期間の業務を包括して,それぞれの団体内部での各業務担当者の選定も含めて一括して委託する形態の随意契約としてされたもので財務会計法規上違法であり,これによる支出も違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号前段に基づき,市に代位して市長個人らに対してされた損害賠償請求が,棄却された事例

裁判要旨

市が,公共土木事業用地の取得に伴う登記,測量及び調査の業務につき,土地家屋調査士の団体,司法書士の団体及び測量業者(測量士)の団体の3団体との間で委託契約を締結したが,同各契約は,予め一定期間の業務を包括して,それぞれの団体内部での各業務担当者の選定も含めて一括して委託する形態の随意契約としてされたもので財務会計法規上違法であり,これによる支出も違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号前段に基づき,市に代位して市長個人らに対してされた損害賠償請求につき,地方自治法(平成14年法律第152号による改正前)234条は,普通地方公共団体が行う契約の締結については,原則として,一般競争入札によるべきことを明らかにし,これを受けて同法施行令(平成12年政令第55号による改正前)167条の2第1項2号が定める随意契約の方法による契約の締結を許容する場合とは,必ずしも競争入札によることが不可能又は著しく困難である場合に限られるものではなく,不特定多数の者の参加を求めて競争原理に基づいて契約の相手方を決定することが必ずしも適当ではなく,選定した相手方との間で契約を締結するという方法をとるのが当該契約の性質に照らし又はその目的を達成する上でより妥当であり,ひいては当該普通地方公共団体の利益の増進につながる場合を含むものというべきであり,このような場合に該当するかどうかは,個々の具体的な契約ごとに,当該契約の種類,内容,性質,目的等諸般の事情を考慮して,当該普通公共団体の契約担当者の合理的な裁量判断により決定されるというべきであるところ,前記各契約の締結は,公共土木事業の用地取得に伴う用地測量,登記,権利関係の調査等の業務を目的とするものであり,不特定多数の者の参加を求めて競争原理に基づいて契約の相手方を決定することが必ずしも適当ではないというような事情は見当たらないばかりか,前記各契約は,個々の具体的な委託ごとに随意契約により委託契約を締結することに合理的な理由があるか吟味される余地がなく,実際に委託業務を担当する業者等の選定も前記3団体に任せられており,市が業者等を直接選定することはできないものとされたことなどからすると,市が登記測量業務について包括的な委託方式を採用し,随意契約により前記各委託契約を締結したことには,裁量権の逸脱,濫用があり,違法であるが,前記各契約の締結は,いずれも専決によって処理され,市長に対して事前に報告,説明がされず,市議会においても前記各契約の具体的内容についての説明は一切なかったことなどからすると,市長は前記各委託契約の具体的な内容を認識し得なかったといわざるを得ないから,同契約の締結を阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失によりこれを阻止しなかったものということはできないとして,前記請求を棄却した事例

全文

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