裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
平成13(行ウ)3
- 事件名
損害賠償等請求事件
- 裁判年月日
平成16年10月8日
- 法廷名
熊本地方裁判所
- 裁判種別
- 結果
- 判例集等巻・号・頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
- 判示事項
国,県,市等が出資したいわゆる第三セクターである株式会社に資金融資を行った金融機関に対し,市が損失補償として公金を支出し,又は支出しようとすることは違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき市に代位して市長個人に対してされた損害賠償請求及び同項1号に基づき市長に対してされた前記支出の差止請求が,いずれも棄却された事例
- 裁判要旨
国,県,市等が出資したいわゆる第三セクターである株式会社に資金融資を行った金融機関に対し,市が損失補償として公金を支出し,又は支出しようとすることは違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき市に代位して市長個人に対してされた損害賠償請求及び同項1号に基づき市長に対してされた前記支出の差止請求につき,前記損失補償に係る損失補償契約は,経済的な効果の面において保証契約と類似するといえるが,損失補償契約と債務保証契約は,法的にはその内容及び効果の点において異なる別個の契約類型であり,また,会社その他の法人のために地方公共団体が損失補償契約を締結し債務を負担することは地方自治法221条3項に見られるとおり,同法の予定するところであるといえるから,損失補償契約の締結自体をもって,法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律3条に違反するものとはいえないが,前記損失補償としての公金の支出は,地方自治法232条の2にいう「補助」そのものではないものの,普通地方公共団体の行う支出である以上,公益上の必要性が認められない支出は許されないところ,損失補償の要否の決定は,当該普通地方公共団体の社会的,財政的状況及び他の行政政策との関連等諸般の事情を総合的に考慮した上での政策的判断であるから,公共上の必要性に関する判断には,普通地方公共団体の長に一定の裁量権があり,その逸脱又は濫用があったと認められる場合に,当該支出が違法になると解されるとした上,前記損失補償契約を締結した時点において,前記会社の経営は破たんに瀕したともいえる状態であったが,同社の事業は市の主導の下に開始されたものであったところ,同社の再建又は事業の有効活用の可能性も全くないとはいいきれない状況にあり,しかも市が特段の支援をすることなく,同社を破綻させれば,それまで前記事業を支援等してきた国,県,金融機関,地場企業等との信頼関係を失いかねず,前記会社の事業からの円満な撤退も困難になりかねない状況であったこと等にかんがみれば,損失補償契約を締結し,損失補償を支出し,支出しようとしてることについて,市長の裁量権の逸脱,濫用があるとは認められないとして,前記請求をいずれも棄却した事例
- 参照法条
- 全文