裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成16(行コ)2
- 事件名
文書不開示処分取消請求控訴事件(原審・仙台地方裁判所平成13年(行ウ)第7号)
- 裁判年月日
平成16年9月28日
- 裁判所名
仙台高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条4号該当性を争う取消訴訟の司法審査の方法 2 高等検察庁の調査活動費の支出に関する一切の資料の開示請求に対し,行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条4号に該当するとしてされた一部不開示決定の取消訴訟において,当該文書に記録された情報が,実際に調査活動に使用された金員の支払に関する情報か,調査活動費の名目で他に流用された金員の支払に関する情報であるかは,同号該当性の判断の前提事実として審理の対象となり,このような不正流用の事実は,原告において主張立証すべきであるとされた事例 3 高等検察庁の平成10年度分の調査活動費の支出に関する一切の資料の開示請求に対し,同調査活動費に関する支払明細書の明細欄及び領収書について行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条1号,4号に該当するとしてした不開示決定の取消請求が,棄却された事例 4 高等検察庁の調査活動費に関する支払明細書の明細欄につき,部分開示は認められないとされた事例
- 裁判要旨
1 行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条4号に「行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」という定め方をしたのは,公共の安全と秩序の維持に関する情報の開示又は不開示の判断が,高度の政策的判断を伴うとともに,犯罪等に関する将来予測としての専門的,技術的判断を要するなどの特殊性があることから,行政機関の長の裁量を特に尊重する趣旨であると解されるためであり,不開示処分が違法となるのは当該処分が裁量権を逸脱又は濫用したと認められる場合に限られ,かつ,これらの裁量権の逸脱又は濫用を基礎付ける具体的事実の主張立証責任は原告にある。 2 高等検察庁の調査活動費の支出に関する一切の資料の開示請求に対し,行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条4号に該当するとしてされた一部不開示決定の取消訴訟において,同号該当性の有無は,その対象文書に記録された情報の具体的,実質的内容を基に判断すべきであり,当該文書に記録された情報が実際に調査活動に使用された金員の支払に関する情報か,調査活動費の名目で他に流用された金員の支払に関する情報かは,同号該当性の判断にとって重要な前提事実として審理の対象となるとした上で,当該不正流用の存否に関する主張は,行政庁の判断には公にされる情報内容に関する重大な事実誤認があり,事実の基礎を欠く判断である旨の裁量権の逸脱,濫用の主張と位置付けられるから,このような不正流用の事実は,原告において主張立証すべきであるとされた事例 3 高等検察庁の平成10年度分の調査活動費の支出に関する一切の資料の開示請求に対し,同調査活動費に関する支払明細書の明細欄及び領収書について行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条1号,4号に該当するとしてした不開示決定の取消請求につき,当該高等検察庁の平成10年度分の調査活動費のすべて又は相当部分が不正に流用されていたと認めるまでの証拠は存せず,また,前記文書中に調査活動費の不正流用にかかる文書が一部含まれているとしても,どの文書がそれに当たるのかを区別して特定することができる証拠がなく,全体として,前記文書には実際に調査活動に使用された金員の支払に関する情報が記録されていないということはできないから,同条4号への該当性の判断に事実誤認があったとは認められず,事実の基礎を欠く判断で裁量権を逸脱,濫用したとはいえないなどとして,前記請求を棄却した事例 4 高等検察庁の調査活動費に関する支払明細書の明細欄につき,行政機関の保有する情報の公開に関する法律6条1項は,1個の行政文書に複数の情報が記録されている場合において,それらの情報のうちに同法5条4号の不開示情報に該当するものがあるときは,当該情報を除いたその余の情報についてのみ,これを開示することを行政機関の長に義務付けているにすぎず,前記明細欄は各調査活動費の支出ごとに,その年月日,金額,使用目的,取扱者等の関係記載部分が,その調査活動に関する独立した一体的な情報をなすものとみるべきであるとして,前記文書の部分開示は認められないとした事例
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