裁判例結果詳細

事件番号

平成15(行コ)35等

事件名

損害賠償請求控訴事件,同附帯控訴事件(原審・京都地方裁判所平成9年(行ウ)第24号)

裁判年月日

平成16年5月14日

裁判所名

大阪高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 府の公共土木事業用地の取得に伴う登記等の業務委託契約及び同契約に基づく公金支出の日からいずれも1年を経過して住民監査請求がされたことにつき,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条2項ただし書にいう「正当な理由」がないとされた事例 2 府が公共土木事業用地の取得に伴う登記測量,調査等の業務を土地家屋調査士,司法書士及び測量業者(測量士)の各団体に対してそれぞれ随意契約の方法で包括的に委託したこと等が違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,当時の知事個人に対してされた損害賠償請求が,一部認容された事例

裁判要旨

1 府の公共土木事業用地の取得に伴う登記等の業務委託契約及び同契約に基づく公金支出の日からいずれも1年を経過して住民監査請求がされたことにつき,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条2項ただし書にいう正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきであるところ,住民が相当の注意力をもってする調査については,マスコミ報道や広報誌等によって受動的に知った情報だけに注意を払っていれば足りるものではなく,住民であれば誰でも知り得る状態に置かれた情報については,情報公開条例に基づく公開請求をするなどして積極的に調査することが要求されるとした上,前記契約の締結及び委託代金の支出に関する府議会定例会議案,予算に関する説明書,定例会議録等は,府の住民に対し公開されているか又は情報公開条例に基づき入手することが可能であり,加えて,府は「登記測量業務委託計画(精算)台帳」をもとに作成された委託実績の一覧表を作成して,住民から前記契約に基づく委託実績について情報公開請求された場合は,その写しを交付しており,府の住民は前記一覧表を検討すれば,容易に同契約の存在及びその内容を知り得たことからすれば,前記台帳が情報公開条例により取得可能となってから11か月後にされた監査請求は相当な期間内にされたとはいえないから,前記住民監査請求には,同項ただし書にいう「正当な理由」がないとした事例 2 府が公共土木事業用地の取得に伴う登記測量,調査等の業務を土地家屋調査士,司法書士及び測量業者(測量士)の各団体に対してそれぞれ随意契約の方法で包括的に委託したこと等が違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,当時の知事個人に対してされた損害賠償請求につき,府が前記業務について土木事務所等ごとに発生する1年分の前記業務を一括して委託する方式を採用した上で随意契約の方法により締結した前記各委託契約は,土地家屋調査士及び司法書士の各団体との各契約については地方自治法施行令167条の2第1項2号に規定された「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当するといえるから,違法であるとはいえないが,測量業者(測量士)の団体との契約については,著しく合理性を欠き,裁量権の範囲を逸脱又は裁量権を濫用したものであり,これに基づく委託金の支出は違法であるとして,前記請求を一部認容した事例

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