裁判例結果詳細

事件番号

平成14(行コ)9

事件名

検定教科書履修義務不存在確認等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成9年(行ウ)第92号)

裁判年月日

平成15年10月1日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 公立中学校に就学していた生徒及びその親権者である保護者が,生徒に給与された教科用図書に違憲,違法な記載があり,精神的な苦痛を受けたとして前記図書の著作者,発行者,国及び中学校の設置者である地方公共団体に対し,公立中学校における就学関係が契約であることなどを前提としてした債務不履行に基づく損害賠償請求が,棄却された事例 2 公立中学校に就学していた生徒及びその親権者である保護者が,生徒に給与された教科用図書に違憲,違法な記載があり,精神的な苦痛を受けたとして前記図書の著作者,発行者,国及び中学校の設置者である地方公共団体に対してした不法行為に基づく損害賠償請求が,棄却された事例

裁判要旨

1 公立中学校に就学していた生徒及びその親権者である保護者が,生徒に給与された教科用図書に違憲,違法な記載があり,精神的な苦痛を受けたとして前記図書の著作者,発行者,国及び中学校の設置者である地方公共団体に対し,公立中学校における就学関係が契約であることなどを前提としてした債務不履行に基づく損害賠償請求につき,公立中学校における就学関係は,私的自治の原則が妥当し対等な当事者間の合意によって形成される私法上のものではなく,高度の公益を実現するために,公権力の行使をもって形成されたものであり,学童生徒,その保護者,国及び地方公共団体は,それぞれ憲法及び教育関係諸法令に基づく権利を有し,義務を負っているが,これらの権利義務は公法上のものであって,民法415条に基づいて,他の当事者に対する損害賠償義務が発生するようなものではないなどとして,前記請求を棄却した事例 2 公立中学校に就学していた生徒及びその親権者である保護者が,生徒に給与された教科用図書に違憲,違法な記載があり,精神的な苦痛を受けたとして前記図書の著作者,発行者,国及び中学校の設置者である地方公共団体に対してした不法行為に基づく損害賠償請求につき,教育内容を決定する国の権能は,個々の生徒又は親の個々の利益というより我が国の生徒全体の一般的,抽象的利益を擁護し,社会公共の利益と関心に応えるという目的から認められるものであり,個々の生徒に教育を受ける権利があり,その親に教育の義務及び自由があるといっても,その権利は一般的,抽象的権利というべきであり,各個人がどのような内容の教育を受けるかについて国又は地方公共団体に対して具体的に要求することは憲法上保障されているものではないから,個々の生徒又はその親に前記図書の記載によって侵害されるべき法的利益の存在を肯定することはできないとして,前記請求を棄却した事例

全文

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