裁判例結果詳細

事件番号

平成14(行コ)90

事件名

公文書非公開決定処分取消等請求控訴事件(原審・奈良地方裁判所平成13年(行ウ)第7号)

裁判年月日

平成15年7月17日

裁判所名

大阪高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 県土地開発公社がした用地先行取得における契約書等の文書のうち,個人地権者の住所及び氏名の各情報が,同号所定の非開示情報(個人認識情報)に該当するとされた事例 2 県土地開発公社がした用地先行取得における契約書等の文書のうち,地権者の印章の印影,取引金融機関に関する情報が,個人地権者の場合は,奈良県情報公開条例(平成13年3月奈良県条例第38号による改正前)10条2号所定の非開示情報(個人識別情報)に該当し,法人地権者の場合は,同条3号所定の非開示情報(法人等情報)に該当するとされた事例 3 県土地開発公社がした用地先行取得における契約書等の文書のうち,買収対象地を特定するための情報(土地の所在,地番及び地積),補償対象の物又は権利を特定する情報(建物及び工作物の所在地及び面積,動産の種類及び個数,植栽の所在地及び本数,権利及び営業の種別等)並びに買収価格及び補償価格の情報が,奈良県情報公開条例(平成13年3月奈良県条例第38号による改正前)10条8号所定の非開示情報(事務事業情報)に該当するとされた事例 4 県土地開発公社がした用地先行取得における契約書等の文書のうち,買収対象地を特定するための情報(土地の所在,地番及び地積)及び補償対象の物又は権利を特定する情報(建物及び工作物の所在地及び面積,動産の種類及び個数,植栽の所在地及び本数,権利及び営業の種別等)が,奈良県情報公開条例(平成13年3月奈良県条例第38号による改正前)10条2号所定の非開示情報(個人識別情報)及び同条3号所定の非開示情報(法人等情報)に該当しないとされた事例 5 県土地開発公社がした用地先行取得における契約書等の文書のうち,買収価格及び補償価格の各情報が,奈良県情報公開条例(平成13年3月奈良県条例第38号による改正前)10条2号所定の非開示情報(個人識別情報)及び同条3号所定の非開示情報(法人等情報)に該当しないとされた事例 6 県土地開発公社がした用地先行取得における契約書等の文書のうち,買収価格及び補償価格を決定するための根拠となった鑑定書等の情報が,奈良県情報公開条例(平成13年3月奈良県条例第38号による改正前)10条7号所定の不開示情報(意思形成過程情報)に該当するとされた事例

裁判要旨

1 県土地開発公社がした用地先行取得における契約書等の文書のうち,個人地権者の住所及び氏名の各情報は,常に当該土地の不動産登記簿の甲区欄に記載されているとは限らず,一般に奈良県情報公開条例10条2号ただし書ア所定の例外的開示情報(法令等の規定により何人でも閲覧することができる情報)に該当するということはできず,同号所定の非開示情報(個人識別情報)に該当するとした事例 2 県土地開発公社がした用地先行取得における契約書等の文書のうち,地権者の印章の印影,取引金融機関に関する情報が,個人地権者の場合は,奈良県情報公開条例(平成13年3月奈良県条例第38号による改正前)10条2号所定の非開示情報(個人識別情報)に該当し,法人地権者の場合は,同条3号所定の非開示情報(法人等情報)に該当するとされた事例 3 県土地開発公社がした用地先行取得における契約書等の文書のうち,買収対象地を特定するための情報(土地の所在,地番及び地積),補償対象の物又は権利を特定する情報(建物及び工作物の所在地及び面積,動産の種類及び個数,植栽の所在地及び本数,権利及び営業の種別等)並びに買収価格及び補償価格の情報につき,これらの情報は,地権者がむやみに他人に知られたくないと考える情報であり,これが開示されれば今後の県の用地買収事務の円滑な執行に支障が生ずるおそれがあることは抽象的には認められるものの,現在までの用地買収事務は買収価格や補償価格を秘密にしたまま行っており,これが開示され得る状況下において,実際に交渉拒否の姿勢を頑なに貫く地権者がどの程度現れ,円滑な用地買収事務がどの程度阻害されるかを認定することは極めて困難であり,前記おそれは,現段階では多分に抽象的なものであるといわざるを得ず,そのような抽象的なおそれがあるというだけでは,当該事務事業若しくは将来の同種の事務事情の公正かつ円滑な執行に著しい支障が生ずるおそれがあるとはいえないとして,奈良県情報公開条例(平成13年3月奈良県条例第38号による改正前)10条8号所定の非開示情報(事務事業情報)に該当しないとした事例 4 県土地開発公社がした用地先行取得における契約書等の文書のうち,買収対象地を特定するための情報(土地の所在,地番及び地積)及び補償対象の物又は権利を特定する情報(建物及び工作物の所在地及び面積,動産の種類及び個数,植栽の所在地及び本数,権利及び営業の種別等)は,不動産登記簿の記載と結びつけることにより,買収対象地又は補償対象物件の所有者としての,個人の住所及び氏名を識別させ得る情報であるが,不動産登記簿に記載された個人の住所及び氏名は,奈良県情報公開条例(平成13年3月奈良県条例第38号による改正前)10条2号ア所定の例外的開示情報(法令等の規定により何人でも閲覧することができる情報)に該当し,また,前記各情報は法人に関する情報ともなり得るが,これを開示することにより当該法人の競争上又は事業運営上の地位,社会的信用その他正当な利益が損なわれるものとはいえないとして,同条2号所定の非開示情報(個人識別情報)及び同条3号所定の非開示情報(法人等情報)に該当しないとした事例 5 県土地開発公社がした用地先行取得における契約書等の文書のうち,買収価格及び補償価格の各情報は,投機的思惑や収益見込みを念頭に置く交渉によって合意された価格情報ではなく,県が地権者に提示すべき価格として認定した法所定価格又は基準価格であり,公金支出が適法となる公共性を有する情報であるから,地権者が取得した金員を明らかにする面があるとしても,奈良県情報公開条例(平成13年3月奈良県条例第38号による改正前)10条2号所定の不開示情報(個人識別情報)又は同条3号所定の不開示情報(法人等情報)に該当しないとした事例 6 県土地開発公社がした用地先行取得における契約書等の文書のうち,買収価格及び補償価格を決定するための根拠となった各種の情報につき,買収対象地については,比準単価を認定するための情報又は不動産鑑定士に依頼して提出させた不動産鑑定評価書に記載された情報であり,補償対象物については,買収対象地上における地権者の生活や営業に関する相当詳細な情報であるから,いずれも公にすることを予定しないという前提で調査や資料収集を行うのでなければ,価格を適正に決定するために有益な情報が獲得できないとして,前記情報は,奈良県情報公開条例(平成13年3月奈良県条例第38号による改正前)10条7号所定の不開示情報(意思形成過程情報)に該当するとした事例 

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