裁判例結果詳細

事件番号

平成14(行コ)100

事件名

損害賠償代位請求控訴事件(原審・奈良地方裁判所平成13年(行ウ)第16号)

裁判年月日

平成15年5月14日

裁判所名

大阪高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 市が消防団に交付した消防操法大会参加事業助成金の使途が違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,市長個人及び消防団長個人に対してされた損害賠償請求に先立つ住民監査請求が,同法242条2項の監査請求期間の制限規定の適用はないとして,適法とされた事例 2 市が消防団に交付した消防操法大会参加事業助成金の使途が違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,市長個人及び消防団長個人に対してされた損害賠償請求が,一部認容された事例  

裁判要旨

1 市が消防団に交付した消防操法大会参加事業助成金の使途が違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,市長個人及び消防団長個人に対してされた損害賠償請求に先立つ住民監査請求につき,同監査請求の対象は,前記助成金の支出額が確定した段階で,精算手続として行われる財務会計上の行為の違法又は不当,あるいは,前記助成金の交付を受けた消防団又は消防団長個人に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実であると解されるところ,損害賠償請求権の行使を怠る事実は,消防団長個人が消防団に交付された前記助成金をその目的外に支出した不法行為により発生した損害賠償請求権についてのものであり,前記監査請求を遂げるためには,監査委員は,消防団における前記助成金の使途が不法行為法上違法の評価を受けるものであること,これにより市に損害が発生したことなどを確定しさえすれば足りることから,前記監査請求の対象は,財務会計上の行為が財務会計法規に違反して違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の行使を怠る事実ではなく,地方自治法242条2項の監査請求期間の制限規定が例外的に適用される場合には当たらず,同制限規定の適用はないとして,前記住民監査請求を適法とした事例 2 市が消防団に交付した消防操法大会参加事業助成金の使途が違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,市長個人及び消防団長個人に対してされた損害賠償請求につき,前記助成金は,消防団が奈良県消防操法大会の参加選手育成及び団員間の協力態勢を図る目的で,消防操法大会参加事業に対し,そのために必要な経費に用いるために交付されるものであり,その性質からみて,その目的の範囲内であれば,交付を受けた消防団において,その裁量により自由に使途を決めることができるものであるけれども,社会通念上その目的に反するといえる使途に費消した場合には,裁量権を逸脱・濫用したものとして,その使途の違法性が問われ,市長は,交付を受けた者に対し,違法な使途に係る支出相当額の返還を求める義務があるとした上で,前記大会に係る選手激励会,慰労会及び分団祝勝会のために前記助成金からされた各支出が,社会通念上儀礼の範囲内のものとして許容されるには,それぞれ単価6000円を限度とするのが相当であり,これを超える部分の支出は裁量権を濫用するものとして違法であるなどとして,前記請求を一部認容した事例

全文

全文

ページ上部に戻る