裁判例結果詳細

事件番号

平成14(行コ)62

事件名

情報公開請求控訴事件(原審・名古屋地方裁判所平成14年(行ウ)第30号)

裁判年月日

平成15年5月8日

裁判所名

名古屋高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号による改正前)5条1号に該当する個人識別情報につき,請求者本人の自己情報の開示請求権を肯定することの可否 2 「医薬品副作用・感染症症例票」と題する文書に自己情報が記載されていると主張する者が,厚生労働大臣に対してした開示請求に対し,同大臣が当該文書のうち「患者略名」及び「職業」を不開示とした処分が,適法とされた事例

裁判要旨

1 行政機関の保有する情報の公開に関する法律は,開示請求の請求主体について何らの制約を設けず,また,開示請求の理由,目的又は利害関係の有無を問うことなく,不開示事由に該当しない限り,行政文書の開示を認めることとしているのであって,本来,個人の権利利益の保護のために自己情報をその者にだけ開示することは予定していないものであり,同法(平成13年法律第140号による改正前)5条1号本文前段は,その文言上,特定の個人の権利利益が現実に害されること又はそのおそれがあることを不開示の要件として規定せず,特定の個人を識別することができる情報は原則として不開示とする立場を取っていることが明らかであるから,本人による自己情報の開示請求のように,現実には個人のプライバシーを侵害するおそれを想定し難い場合であっても,それが個人識別情報に該当する以上,原則として不開示とすることとしたのが同法の趣旨であると解さざるを得ない。 2 「医薬品副作用・感染症症例票」と題する文書に自己情報が記載されていると主張する者が,厚生労働大臣に対してした開示請求に対し,同大臣が当該文書のうち「患者略名」及び「職業」を不開示とした処分につき,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号による改正前)5条1号が,不開示情報として,氏名,生年月日などそれ自体が独立して特定の個人の識別を可能にする事項のみならず,「他の情報と照合することにより,特定の個人の識別を可能にすることとなる」事項をも含むものとしている趣旨は,一定の集団に属する者に関する情報を開示すると,当該集団に属する個々の者に不利益を及ぼす場合があり得るため,このような場合には,情報の性質及び内容に照らし,プライバシー保護の十全を図る必要性があることにかんがみたものであると解されるところ,同法が,開示請求の請求主体について何らの制約を設けていないため,当該個人の同僚,知人等も開示請求をする可能性があることからすれば,前記「他の情報」とは,一般に容易に入手し得る情報のみに限定されるものではなく,当該情報の性質及び内容に照らし,具体的事例において個人識別の可能性をもたらすような情報を含むものと解するのが相当であるとした上,前記「患者略名」と「職業」は,一般に個人の特定に役立つ有力な情報であるうえ,特に職業はその種類によっては,対象者を相当範囲にまで限定する役割を果たすものであるから,これらの情報と開示された情報をあわせることにより,特定の個人に関する情報であることが可能になるものと認められるから,前記「患者略名」と「職業」は,同法(平成13年法律第140号による改正前)5条1項の定める個人識別情報に該当するものというべきであるとして,前記処分を適法とした事例

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