裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成12(行ウ)18等
- 事件名
公金違法支出損害賠償請求事件(甲事件),公金違法出損害賠償請求事件(乙事件),福岡県違法公金支出返還請求事件(丙事件)
- 裁判年月日
平成15年3月25日
- 裁判所名
福岡地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 県が現職の教諭を民間の研究団体である県同和教育研究協議会に研修名目で派遣してその給与を支出してきたことは違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,知事に対し,教育委員会委員長個人に対して損害賠償請求することを求める訴えが,住民監査請求においては,監査請求の対象者を知事として,派遣教諭に対する給与支出をやめること及び既支出分の損害賠償等を求めていたとしても,監査請求前置を欠くものとはいえないとされた事例 2 県が現職の教諭を民間の研究団体である県同和教育研究協議会に研修名目で派遣してその給与を支出してきたことは違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,知事個人に対してされた損害賠償請求及び前記改正後の同号に基づき,知事に対してされた,知事個人及び教育委員会委員長個人に対して損害賠償請求することを求める請求が,一部認容された事例
- 裁判要旨
1 県が現職の教諭を民間の研究団体である県同和教育研究協議会に研修名目で派遣してその給与を支出してきたことは違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,知事に対し,教育委員会委員長個人に対して損害賠償請求することを求める訴えにつき,住民監査請求については,住民が監査の対象である財務会計上の行為又は怠る事実を特定して必要な措置を講ずべきことを請求すれば足りるのであって,措置の内容及び相手方を具体的に明示することは必須ではなく,住民訴訟においては,その対象とする財務会計上の行為又は怠る事実について監査請求を経ていると認められる限り,監査請求において求められた具体的措置の相手方と異なる者を相手方として,上記監査請求において求めた措置の内容と異なる請求をすることも許されるとして,監査請求の対象者を知事として,派遣教諭に対する給与支出をやめること及び既支出分の損害賠償等を求めていたとしても,監査請求前置を欠くものとはいえないとした事例 2 県が現職の教諭を民間の研究団体である県同和教育研究協議会に研修名目で派遣してその給与を支出してきたことは違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,知事個人に対してされた損害賠償請求及び前記改正後の同号に基づき,知事に対してされた,知事個人及び教育委員会委員長個人に対して損害賠償請求することを求める請求につき,前記派遣は教育公務員特例法20条3項の定める研修の趣旨を逸脱した違法なものであり,著しく合理性を欠き,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存在する場合に当たり,知事にはそのために支出されている給与の支払を阻止すべき指揮監督上の義務があり,故意または過失で給与の支出行為を阻止すべき措置を怠ったときは,その責任が問われるとした上,知事は,出席した県議会において当該派遣の実態等が指摘された時点でその異常を知り得る機会があったのであるから,その実態把握のための調査及びその違法性の検討並びに改善のために必要とする最小限の期間のうちに違法性阻止の措置を講ずるべきであったとして,前記時点以降の支出に関する前記知事個人に係る請求を認容し,また,教育委員会委員長は,県教育委員会を構成しており,違法な給与支出を行ったとして,前記教育委員会委員長個人に係る請求を認容した事例
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