裁判例結果詳細

事件番号

平成14(行ウ)61

事件名

農地転用許可処分の無効等確認請求事件

裁判年月日

平成15年2月28日

裁判所名

名古屋地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 農業振興地域整備計画のうち農地利用計画について,市が農業振興地域の整備に関する法律13条1項,2項に基づいてした一定の土地を農用地区域から除外する旨の変更計画が,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとされた事例 2 県知事がした農地法(平成19年法律第48号による改正前)5条に基づく農地転用目的譲渡許可処分の無効確認を求める訴えにつき,同処分の対象となる土地の隣接地に居住し農業に従事する者の原告適格が否定された事例

裁判要旨

1 農業振興地域整備計画のうち農地利用計画について,市が農業振興地域の整備に関する法律13条1項,2項に基づいてした一定の土地を農用地区域から除外する旨の変更計画につき,同法が定める農業振興地域整備計画は,同法2条が定める目的を達成するための施策を定めた総合的基本計画であって,それ自体としては国民の権利義務に対して直接影響を与えるものではなく,その中の農用地利用計画も,農用地区域及びその区域内にある土地の用途区分に係るもので,同様に,それ自体として国民の権利義務に対して直接影響を与えるものではないと言わざるを得ないところ,農用地区域内においては,開発行為や農地法上の許可に関する処分を行うにつき,制約を受けることになるが,これらの制約は,あたかも新たにかかる制約を課する法令が制定された場合におけると同様の,当該地域内の不特定多数の者に対する抽象的一般的なものにすぎず,これによって直ちに国民に対して具体的な義務を課したり,権利を侵害するものとはいえず,この理は,一定の土地を農用地区域から除外する旨の農用地利用計画の変更決定においても等しく妥当するというべきであるから,前記決定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとした事例 2 県知事がした農地法(平成19年法律第48号による改正前)5条に基づく農地転用目的譲渡許可処分の無効確認を求める訴えにつき,農地法5条所定の許可制度は,専ら国民経済的な観点から効率的な農地の所有,利用関係を調整し,もって我が国の農業生産力の安定,増進を図ることを目的としたものと解されるところ,前記許可処分の対象となる土地の隣接地に居住し農業に従事する者が,前記許可処分によって被ると主張する,建築予定の隣家からの苦情,日照権の侵害,埋立てによる既存排水路の遮断,これに伴う周辺農地への排水不良等の被害は,前記許可処分自体によって直接もたらされる法律上の効果ではなく,転用後の本件土地上に住宅が建築され,ここに隣人が居住することによる事実上の影響にすぎないとして,前記の者の原告適格を否定した事例

全文

全文

ページ上部に戻る