裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成6(行コ)9等
- 事件名
新東京国際空港工事実施計画認可処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所昭和42年(行ウ)第61号)
- 裁判年月日
平成15年1月30日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 航空法55条の3第1項に基づき運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)が新東京国際空港公団に対してした新東京国際空港設置のための工事実施計画の認可に伴う同法55条の3第2項,40条による進入表面,転移表面及び水平表面の告示の行政処分性 2 航空法56条の2第1項に基づき運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)がした第一種空港の延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の指定の行政処分性 3 航空法55条の3第1項に基づき運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)が新東京国際空港公団に対してした新東京国際空港設置のための工事実施計画の認可の取消しを求める訴えにつき,同認可により定まる進入表面等の投影面内にある土地又は建物について権利を有する者の原告適格を肯定した事例 4 運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)が航空法55条の3第1項に基づき新東京国際空港公団に対してした新東京国際空港設置のための工事実施計画の認可及び同法56条の2第1項に基づく前記空港に係る円錐表面等の指定の取消しを求める訴えにつき,公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律8条の2に基づき指定された第一種区域内の建物に居住する者の原告適格を否定した事例 5 航空法56条の2第1項に基づき運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)がした新東京国際空港に係る円錐表面等の指定の取消しを求める訴えにつき,同円錐表面の投影面内にある土地又は建物について権利を有する者の原告適格を肯定し,その余の近隣住民の原告適格を否定した事例 6 航空法55条の3第1項に基づき運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)が新東京国際空港公団に対してした新東京国際空港設置のための工事実施計画の認可の取消請求が棄却された事例 7 航空法56条の2第1項に基づき運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)がした新東京国際空港に係る円錐表面等の指定の取消請求が棄却された事例
- 裁判要旨
1 航空法55条の3第1項に基づき運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)が新東京国際空港公団に対してした新東京国際空港設置のための工事実施計画の認可に伴う同法55条の3第2項,40条による進入表面,転移表面及び水平表面の告示は,同法56条,49条所定の公用制限が及ぶ範囲を初めて現実化させるものであるが,その範囲自体は法令上当然に確定されるものであるから,前記告示は,国民の権利義務の範囲を確定する行為ではなく,取消訴訟の対象となる行政処分に当たらない。 2 航空法56条の2第1項に基づき運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)がした第一種空港に係る延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の指定は,当該第一種空港を航空の用に供するという一定の目的のため,前記の延長進入表面等の投影面内の区域の土地及び建物の所有者その他の利用権者の財産権に従前にはなかった具体的な制限を加えるものであり,国民の権利義務の範囲を制限する確定的効果を持つものであるから,取消訴訟の対象となる行政処分に当たる。 3 航空法55条の3第1項に基づき運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)が新東京国際空港公団に対してした新東京国際空港設置のための工事実施計画の認可の取消しを求める訴えにつき,同認可により定まる進入表面,転移表面及び水平表面の投影面内にある土地又は建物について権利を有する者は,同法56条,49条により建造物の設置等の禁止の義務を負うこととなるから,同認可の取消しを求める法律上の利益があるとして,その原告適格を肯定した事例 4 運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)が航空法55条の3第1項に基づき新東京国際空港公団に対してした新東京国際空港設置のための工事実施計画の認可の取消し及び同法56条の2第1項に基づく前記に係る延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の指定の取消しを求める訴えにつき,航空機騒音による障害の防止等に関する法律8条の2所定の第一種区域は,前記認可が対象とする進入表面等の投影面又は前記指定が対象とする延長進入表面等の投影面の範囲内にあるから,各処分の取消しを求める原告適格の有無は,各処分が対象とする範囲内にある土地又は建物について権利を有するか否かにより決するのが相当であること,同法自体は,関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与することを目的として,各処分後に成立した法律であること等から,前記第一種区域内の建物に居住する者の原告適格を否定した事例 5 航空法56条の2第1項に基づき運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)がした新東京国際空港に係る延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の指定の取消しを求める訴えにつき,前記円錐表面の投影面内にある土地又は建物について権利を有する者は,同法56条の4所定の建造物の設置等の禁止の義務を負うこととなるから,前記指定の取消しを求める法律上の利益があるとして,原告適格を肯定し,新東京国際空港の敷地予定地の範囲内の土地又は建物について権利を有する者及び運輸大臣がした同空港設置のための工事実施計画の認可によって定まる進入表面等の投影面内にある土地又は建物について権利を有する者は,前記指定によりその権利に何らの影響を受けるものではないとして,これらの者の原告適格を否定した事例 6 航空法55条の3第1項に基づき運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)が新東京国際空港公団に対してした新東京国際空港設置のための工事実施計画の認可の取消請求が,前記計画は航空法55条の3第1項及び2項所定の実体的要件を具備し,認可に当たっての手続的要件も履践されているから,前記認可に違法はないとして,棄却された事例 7 航空法56条の2第1項に基づき運輸大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)がした新東京国際空港に係る円錐表面等の指定の取消請求が,前記指定は,同法56条の3第1項所定の実体的要件に適合し,所定の手続を経た適法なものであるとして,棄却された事例
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