裁判例結果詳細

事件番号

平成14(行コ)147

事件名

各損害賠償請求控訴事件(原審・横浜地方裁判所平成10年(行ウ)第43号等)

裁判年月日

平成14年12月24日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 市の発注した工事の入札において談合があったとして,対象を,発注の方法,工事の種類,工事の時期,入札価格累計によって抽象的に識別することのできる工事のうちの一定割合という方法で特定した上でされた住民監査請求が,請求の対象の特定を欠き,不適法であるとされた事例 2 道路改良工事の指名競争入札において談合が行われた結果,受注予定者があらかじめ合意され,入札参加者間で公正な競争が確保された場合に形成されたであろう正常な落札価格と比較して不当に高い価格で落札がされ,市がその差額相当額の損害を受けたにもかかわらず,損害賠償請求権の行使を怠っているとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位してした入札参加者である建設会社らに対する損害賠償請求が,いずれも一部認容された事例

裁判要旨

1 市の発注した工事の入札において談合があったとして,対象を,発注の方法,工事の種類,工事の時期,入札価格累計によって抽象的に識別することのできる工事のうちの一定割合という方法で特定した上でされた住民監査請求につき,前記の方法では,「当該行為等」である各請負契約及びその違法をもたらす談合行為を他の入札,請負契約及び談合行為から区別して特定認識することはできず,また,当該行為等の性質,目的等に照らし,これらを一体とみてその違法又は不当性を判断するのを相当とする場合ということもできないから,請求の対象の特定を欠くとして,前記請求を不適法であるとした事例 2 道路改良工事の指名競争入札において談合が行われた結果,受注予定者があらかじめ合意され,入札参加者間で公正な競争が確保された場合に形成されたであろう正常な落札価格と比較して不当に高い価格で落札がされ,市がその差額相当額の損害を受けたにもかかわらず,損害賠償請求権の行使を怠っているとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位してした入札参加者である建設会社らに対する損害賠償請求につき,談合の存在を認め,談合により受注予定者となり,現実に落札して契約を締結するに至った者は,不正な受益者として不法行為責任の中心的な者として,落札者以外の談合参加者は,入札自体による受益はないものの,不正な落札を実現させることに協力するものであり,落札者以外の談合参加者の談合と入札行為がなければ不正な落札結果を生じないから,この入札行為も不法行為に該当し,いずれも不法行為責任を負うとした上,入札予定価格については手堅くやや低めに見込むであろうと予想されること,競争がそれほど熾烈ではないと参加者にも多少は予想される等,想定競争価格はそれほどは下がらない特殊事情があること等を考慮し,損害額につき,民事訴訟法248条を適用して,入札予定価格よりも3パーセント低い価格を想定競争価格として,同額と落札価格との差額を損害額と認定して,前記請求を一部認容した事例

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