裁判例結果詳細

事件番号

平成13(行コ)71

事件名

違法支出公金返還等請求控訴事件(原審・神戸地方裁判所平成9年(行ウ)第3号)

裁判年月日

平成14年9月13日

裁判所名

大阪高等裁判所

分野

行政

判示事項

町が戦没者に感謝及び追悼の意を表する趣旨で,遺族に添状を添えて線香又はろうそくを配布したことが憲法20条3項,89条等に違反するとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,その購入費用等相当額について,町長個人に対してされた損害賠償請求が,棄却された事例

裁判要旨

町が戦没者に感謝及び追悼の意を表する趣旨で,遺族に添状を添えて線香又はろうそくを配布したことが憲法20条3項,89条等に違反するとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,その購入費用等相当額について,町長個人に対してされた損害賠償請求につき,前記の配布は,戦没者の遺族に対してされたもので,その目的は戦没者に感謝及び追悼の意を表することであるものの,その行為の目的が宗教的意義を持ち,その効果が宗教に対する助長,促進等となり,宗教とのかかわり合いの程度が我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本的目的との関係で相当とされる限度を超えるものとみる余地があり,地方自治体の行為として相当でないことはもとより,憲法20条3項にいう宗教的活動に該当し,同法89条等に違反するとの疑いを払しょくすることはできないが,前記線香等の購入代金の公金支出が,当該町の総務課長の専決処理によってされたところ,?前記町では,二十数年以上にわたって,前記添状と同様の書面を添えた線香等の配布を行ってきたが,その間,法的問題点の指摘や改廃の議論がなされたことはなく,また,配布を受けた遺族から線香等の受領の拒絶がなされたこともなかったこと,?前記の配布当時は近隣市町村でも同様の施策が行われていたこと,?類似の事例について,これまで判決等の公権的解釈が示されたことはなかったこと,?前記の配布及び前記支出は,前記町長がその職に就任後わずか4か月足らずの間に行われたものであること等の事実が認められることに加え,前記の配布が違憲であるかどうかの判断は微妙かつ困難な問題であって,容易に判断できたものとはいえないことに照らせば,前記町長において,これを阻止すべき指導監督上の義務に違反し,故意又は過失によりこれを阻止しなかったものとまでは認めることができないとして,前記請求を棄却した事例

全文

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