裁判例結果詳細

事件番号

平成13(行ウ)6

事件名

文書一部非開示処分取消等請求事件

裁判年月日

平成14年4月23日

裁判所名

鳥取地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 県議会議長の食糧費に係る支出負担行為書及び支出内訳書並びに県警本部警務課等の出張旅費に係る支出負担行為書及び支出仕訳書の各文書中の法人等又は飲食店等の取引金融機関名,口座番号及び印影の各情報が,いずれも鳥取県情報公開条例9条2条3号アに規定する「公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある」情報に該当しないとされた事例 2 県警本部警務課等の出張旅費及び食糧費に係る各支出負担行為書及び各支出仕訳書の各文書中の県警本部職員のうち警部補及び同相当職以下の職にある者の氏名の情報が,鳥取県情報公開条例9条2項4号所定の非開示事由(公共秩序維持情報)に該当しないとされた事例

裁判要旨

1 県議会議長の食糧費に係る支出負担行為書及び支出内訳書並びに県警本部警務課等の出張旅費に係る支出負担行為書及び支出仕訳書の各文書中の法人等又は飲食店等の取引金融機関名,口座番号及び印影の各情報につき,鳥取県情報公開条例(平成12年鳥取県条例第2号)9条2項3号アにいう「公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある」情報に該当するというためには,当該情報を開示することによって当該事業者の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることを要するところ,元来は事業者が内部限りにおいて管理して開示すべき相手方を限定する利益を有する情報であっても,事業者がそのような管理をしていないと認められる場合には,これが開示されることにより正当な利益等を害するおそれがあることにはならないものというべきであるとした上,前記取引金融機関名及び口座番号は,飲食業者等が飲食代金等の請求書に飲食業者等である債権者が代金の振込送金先を指定する趣旨で記載したものであって,一般的な飲食業者等の業務態様をみれば,不特定多数の者が新規にその顧客となり得るのが通例であり,そのように代金の請求書に口座番号等を記載して顧客に交付している飲食業者等にあっては,口座番号等を内部限りにおいて管理することよりも,決済の便宜に資することを優先させているものと考えられ,請求書に記載して顧客に交付することにより,口座番号等が多数の顧客に広く知れ渡ることを容認し,当該顧客を介してこれが更に広く知られ得る状態に置いているものということができるから,顧客が県であるからこそ口座番号等を開示したなどの特段の事情がない限り,開示しても債権者の正当な利益を害するおそれがあるものには当たらないところ,特段の事情は認められず,また,請求書に押捺されている債権者の印影については,公文書開示の方法は閲覧又は写しの交付等の方法によるものとされていることから,印影の開示により,当該印影が偽造され,不正に使用されることはほとんど考えられない上,口座番号等についてと同様の理由により,これを開示しても債権者の正当な利益を害するおそれがあるものとはいえないとして,いずれも前記条例9条2条3号アに規定する情報に該当しないとした事例 2 県警本部警務課等の出張旅費及び食糧費に係る各支出負担行為書及び各支出仕訳書の各文書中の県警本部職員のうち警部補及び同相当職以下の職にある者の氏名の情報につき,鳥取県情報公開条例(平成12年鳥取県条例第2号)9条2項4号にいう「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」情報とは,公共の安全と秩序の維持を図ることの重要性にかんがみ,これに支障を及ぼすおそれがあると認められるような情報をいうところ,警察職員の職務の中には,例えば,公安,警備活動等のように,その職務の具体的内容又はこれを推知しうる情報と併せて,これに関係する警察職員の氏名を開示した場合,警察組織に対し敵意を持つ集団に属する者等からの攻撃等によって,当該警察職員又はその家族に対し,何らかの危害等が及ぶおそれがあると想定できるものもあるから,かかる性質を有する職務に関連した出張又は飲食等に係る文書については,これに記載されている警察職員の氏名を特に秘匿すべき場合があり得ることは否定できないが,かかる文書の性質を問うことなく,当該情報の内容が,警部補及び同相当職以下の職にある警察職員の氏名の情報であることの一事をもって,これを非開示とすることが合理性を有するためには,氏名を開示された場合に,当該警察職員又はその家族に危害等が及ぶ具体的なおそれが認められることが必要であるところ,県警が警部補及び同相当職以下の職にある警察職員を含めた警察職員の人事異動に関する情報を報道各社に提供し,その内容が新聞等の媒体によって広く報道された結果,ことさらに警察職員に対し危害等が加えられる実例が増加したとは認められないことにも照らせば,前記各情報を開示することにより,前記の具体的なおそれがあると認めることはできないとして,前記情報は,前記条例9条2項4号所定の非開示事由(公共秩序維持情報)に該当しないとした事例

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