裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成10(行ウ)10
- 事件名
奈良県教育委員会懲戒文書非公開決定取消請求事件
- 裁判年月日
平成14年4月17日
- 裁判所名
奈良地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 奈良県教育委員会がした平成8年度懲戒処分に関する情報のうち,被懲戒者の氏名に係る情報が,奈良県情報公開条例(奈良県条例28号)10条8号所定の非開示情報(事務事業情報)に当たるとされた事例 2 奈良県教育委員会がした平成8年度懲戒処分に関する情報のうち,被懲戒者の職名,学校名,所属コード,諭旨免職処分の日,生年月日,年令,最終卒業学校名等及び職員番号に係る各情報が,奈良県情報公開条例(奈良県条例28号)10条2号所定の非開示情報(個人識別情報)に当たるとされた事例 3 奈良県教育委員会がした平成8年度懲戒処分に関する情報のうち,同処分に係る事件,事故の発生した場所である飲食店名,店名,売場名に係る各情報が,奈良県情報公開条例(奈良県条例28号)10条8号所定の非開示情報(事務事業情報)に当たるとされた事例 4 奈良県教育委員会がした平成8年度懲戒処分に関する情報のうち,被懲戒者の職員番号に係る情報が,奈良県情報公開条例(奈良県条例28号)10条4号所定の非開示情報(公共秩序維持情報)に当たるとされた事例
- 裁判要旨
1 奈良県教育委員会がした平成8年度懲戒処分に関する情報のうち,被懲戒者の氏名に係る情報につき,懲戒に当たっては,被懲戒者からできる限り正確な事実関係を聴取し,調査を尽くした上,適正な処分を行う必要があるところ,懲戒処分があれば,常に被懲戒者の氏名が公開されるという事態になれば,その後行われる職員への懲戒処分という同種事務の執行に当該職員から事実関係についての調査等への任意の協力を得られない事態も想定されるとして,前記情報は,奈良県情報公開条例(奈良県条例28号)10条8号所定の非開示情報(事務事業情報)に当たるとした事例 2 奈良県教育委員会がした平成8年度懲戒処分に関する情報のうち,被懲戒者の職名,学校名,所属コード,諭旨免職処分の日,生年月日,年令,最終卒業学校名等及び職員番号に係る各情報につき,これらの情報は,当該被懲戒者の人事等にかかる個人に関する情報であるから,いわゆるモザイク情報として,これらを開示すれば,すでに開示されている事故の概要や経過等を結びつけることにより,特定の個人が識別され得る可能性があるとして,前記各情報は,奈良県情報公開条例(奈良県条例28号)10条2号所定の非開示情報(個人識別情報)に当たるとした事例 3 奈良県教育委員会がした平成8年度懲戒処分に関する情報のうち,同処分に係る事件,事故の発生した場所である飲食店名,店名,売場名に係る各情報につき,これらの情報については,実施機関が,懲戒処分をするに当たり,当該店主等に対して,他に公表しないことを前提に協力を得て事情聴取等を行い必要な情報を得ているものと認められ,これらが開示されると,当該店が当該事故に関係していることが明らかとなり,関係当事者間の信頼関係が損なわれ,将来同種の処分を行う際に関係者から必要な情報が十分に得られないことになり,懲戒処分の公正かつ円滑な執行に著しい支障が生ずるおそれがあるとして,前記各情報は,奈良県情報公開条例(奈良県条例28号)10条8号所定の非開示情報(事務事業情報)に当たるとした事例 4 奈良県教育委員会がした平成8年度懲戒処分に関する情報のうち,被懲戒者の職員番号に係る情報につき,職員番号は,共済組合員証や職員互助会等の福利厚生団体のメンバーズカードの番号と同一であり,庁内ネットワークのユーザーコードの暗証番号になっている可能性も高いことなどから,それが広く一般に周知されると,不正に使用され,職員が私的に管理している情報が漏洩したり,医療機関や福利厚生団体の運営に混乱が生ずるおそれがあるものと認められ,これを開示すると,財産の保護等の公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれがあるとして,前記情報は,奈良県情報公開条例(奈良県条例28号)10条4号所定の非開示情報(公共秩序維持情報)に当たるとした事例
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