裁判例結果詳細

事件番号

平成13(行コ)141

事件名

土地買受差止住民訴訟控訴事件(原審・横浜地方裁判所平成10年(行ウ)第20号)

裁判年月日

平成14年2月6日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

市が土地開発公社から土地の取得を予定していることについて,同予定に係る取得行為は市長の裁量権を濫用もしくは逸脱する違法な行為であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項1号に基づきされた前記取得に関する契約の締結及びこれに基づく公金支出の差止め請求が,認容された事例

裁判要旨

市が土地開発公社から土地の取得を予定していることについて,同予定に係る取得行為は市長の裁量権を濫用もしくは逸脱する違法な行為であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項1号に基づきされた前記取得に関する契約の締結及びこれに基づく公金支出の差止め請求につき,地方公共団体の長には土地の取得に関する裁量権が認められるが,必要性の乏しい土地を適正価格よりも著しく高額な対価で取得することは,特段の事情がない限り,前記裁量権の逸脱若しくは濫用に当たり,地方自治法(平成11年法律第87号による改正前)2条13項及び地方財政法4条の趣旨に反する財務会計上の行為として違法となると解すべきであるとした上で,前記土地は前記市にとって必ずしも必要性の高くない土地であり,また前記公社は適正な価格より5割以上高い価格で前記土地を購入しており,その購入価格は一般の取引通念に照らして著しく高額で適正を欠いたものであるところ,前記市は同価格を基礎としてさらに利息等を加算した金額で取得することになるから前記土地取得には合理性がないとし,一般的には,特定の適正価格と認められる金額を少しでも超える金額による取得行為はおよそ許されず,差止対象となるというのは適当でなく,特定の適正価格に一定程度の幅をもたせた金額を基準にして差止めの許否を判断するのが適当であるが,前記土地の裁判上の鑑定評価額は特定の適正価格に高めの方向での幅をもたせた後の金額と評価することができるから,前記鑑定評価額を超える金額による取得には合理性は認められないと解され,同鑑定評価額を基礎とした金額を超える金額で取得することは市長の裁量権の逸脱,濫用に当たるとして,前記請求を認容した事例

全文

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