裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成9(行ウ)92
- 事件名
検定教科書履修義務不存在確認等請求事件
- 裁判年月日
平成13年12月6日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 公立中学校に就学していた生徒及びその親権者である保護者が,就学及び教科用図書の使用に関し,生徒,保護者,国,地方公共団体,前記図書の発行者との間には,公法上の法律関係として請負類似の混合契約が成立しているところ,自虐的な歴史観に基づく前記図書に基づく教科履修を義務付けることは違憲,違法であるなどとして,国及び地方公共団体に対してした前記図書を用いた社会科履修義務の不存在確認,前記図書の使用禁止,授業に出席しないこと等を理由とする不利益取扱いの禁止等を求める訴えが,いずれも却下された事例 2 公立中学校に就学していた生徒及びその親権者である保護者が,就学及び教科用図書の使用に関し,生徒,保護者,国,地方公共団体,前記図書の発行者との間には,公法上の法律関係として請負類似の混合契約が成立しているところ,自虐的な歴史観に基づく前記図書に基づく教科履修を義務付けることは違憲,違法であるなどとして,国,地方公共団体,発行者及び著作者に対してした債務不履行に基づく損害賠償請求が,棄却された事例 3 公立中学校に就学していた生徒及びその親権者である保護者が,就学及び教科用図書の使用に関し,生徒,保護者,国,地方公共団体,前記図書の発行者との間には,公法上の法律関係として請負類似の混合契約が成立しているところ,自虐的な歴史観に基づく前記図書に基づく教科履修を義務付けることは違憲,違法であるなどとして,国,地方公共団体,発行者及び著作者に対してした不法行為に基づく損害賠償請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
1 公立中学校に就学していた生徒及びその親権者である保護者が,就学及び教科用図書の使用に関し,生徒,保護者,国,地方公共団体,前記図書の発行者との間には,公法上の法律関係として請負類似の混合契約が成立しているところ,自虐的な歴史観に基づく前記図書に基づく教科履修を義務付けることは違憲,違法であるなどとして,国及び地方公共団体に対してした前記図書を用いた社会科履修義務の不存在確認,前記図書の使用禁止,授業に出席しないこと等を理由とする不利益取扱いの禁止等を求める訴えにつき,既に生徒が中学校の全過程を終了して中学校を卒業している以上,同人らが新たな不利益を受ける等派生的紛争が今後生ずるおそれはなく,前記生徒の在学中における前記義務の不存在確認等を求める法律上の利益は存在しないとして,前記各訴えをいずれも却下した事例 2 公立中学校に就学していた生徒及びその親権者である保護者が,就学及び教科用図書の使用に関し,生徒,保護者,国,地方公共団体,前記図書の発行者との間には,公法上の法律関係として請負類似の混合契約が成立しているところ,自虐的な歴史観に基づく前記図書に基づく教科履修を義務付けることは違憲,違法であるなどとして,国,地方公共団体,発行者及び著作者に対してした債務不履行に基づく損害賠償請求につき,学齢生徒の就学をめぐる法律関係は,学齢生徒の保護者に対し教育の機会均等,義務教育等の要請を完全に実施するために特定の中学校との関係で具体的な就学義務を負担させるなど,公権力の行使をその本質とするものであって,対等な当事者間の法律関係ではなく,前期生徒の就学に関し,同人らと国等との間で,前記混合契約が成立する余地はないから,債務不履行の前提となる契約関係の存在は認められないなどとして,前記請求を棄却した事例 3 公立中学校に就学していた生徒及びその親権者である保護者が,就学及び教科用図書の使用に関し,生徒,保護者,国,地方公共団体,前記図書の発行者との間には,公法上の法律関係として請負類似の混合契約が成立しているところ,自虐的な歴史観に基づく前記図書に基づく教科履修を義務付けることは違憲,違法であるなどとして,国,地方公共団体,発行者及び著作者に対してした不法行為に基づく損害賠償請求につき,子どもには教育の権利が,その親には教育の義務があるけれども,いかなる内容の教育を受けるか,あるいは受けさせるかといった個々の点についてまで,教育権,人格権あるいは他の権利として,子どもないしその親に憲法上の保障が及んでいると解することはできず,また,前記図書にどのような内容がいかなる方法で記述されるか,これに対する検定がどのように行われるか,検定済教科用図書のうち具体的にどの教科用図書が選択されるかといった事柄について,個々の学齢生徒ないしその保護者には,憲法上ないし法律上保護された利益があるとはいえず,前記保護者らが被ったとする精神的苦痛は,一定の歴史的事象についての自己の見解が教科書に採用されずこれに反する所説が採用されたことに対する一種の不快感ないし憤りといったものにすぎないものであって,憲法上ないし法律上保護された利益の侵害には当たらないなどとして,前記請求を棄却した事例
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