裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成13(行コ)163
- 事件名
損害賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成11年(行ウ)第234号)
- 裁判年月日
平成13年11月6日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
一部事務組合の職員に対する特殊勤務手当の支給が給与条例主義に違反し違法であるなどとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,前記一部事務組合に代位して同組合の事務局長ら各個人に対してされた損害賠償請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
一部事務組合の職員に対する特殊勤務手当の支給が給与条例主義に違反し違法であるなどとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,前記一部事務組合に代位して同組合の事務局長ら各個人に対してされた損害賠償請求につき,東京都六市競艇事業組合職員の給与に関する条例(昭和48年東京都六市競艇事業組合条例第8号。以下「給与条例」という。)を改正する平成11年東京都六市競艇事業組合条例第6号の附則は,特殊勤務手当の支給要件が同改正前の給与条例に規定されていないため,その効力に疑義を指摘されたことから,これを解消する目的で置かれたものと解され,その制定に当たり,ことさら従前の手当の一部を除外し,除外された手当が給与条例主義に違反するとされてもやむを得ないものとして制定されたとは解し難いことからすると,特段の事情のない限り,改正前に支給された特殊勤務手当の全部について,改正後の条例に基づく支給とみなすこととしたものと解するのが合理的であることなどからすると,前記支給が給与条例主義に違反するとの主張は採用できず,また,地方自治法204条2項が職員に支給し得る手当を制限列挙しているところ,国家公務員との均衡を考慮する必要があることにもかんがみると,地方公務員に対する特殊勤務手当の支給について定めるに当たっては,国家公務員に対する支給要件を定める一般職の職員の給与に関する法律13条1項と同様,著しく困難な勤務その他著しく特殊な勤務で,給与上特別の考慮を必要とし,かつ,勤務の特殊性を給料で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員に対し,その職務の特殊性に応じ支給されるものであることという要件を満たす必要があるが,特殊勤務手当の対象をどのようなものとするかは,各地方公共団体の実情に応じてそれぞれの議会の合理的な裁量判断にゆだねられていると解されるから,前記の要件を満たすか否かは,議会の判断が事実の基礎を欠き,又は社会通念上著しく妥当を欠いて,与えられた裁量権を逸脱,濫用したと認められる場合において,初めて違法と判断されるべきものであって,たとえ妥当を欠くと解されるとしても前記の程度には至らない場合には,当該条例が法律に違反することを理由に当然に無効とされるべきものではないと解すべきであるとした上,開催日における勤務は,当然に非常事態に対応した業務が行われるものではないが,常にこれに備える必要があるという意味で相応の緊張感を伴うものであり,また,不測の事態に備えること自体は競艇場における勤務であっても本部事務所における勤務であっても異なるものではなく,本部事務所で執務する職員であっても,事態の動向によっては直ちに競艇場に赴かなければならないのであるから,開催日に勤務する職員の業務が,本部事務所におけるものをも含めて,これを著しく特殊な勤務であり,給与上特別の考慮を必要とするとの議会の判断が,合理性に欠けるものであると断ずることはできないし,前検日における勤務も,それが開催日の業務と密接な関連を有し,一定の緊張感を伴うものであり,有給休暇の取得を認めないとの方針が採られ,事実上,休暇の取得が制限されていたなど,一般の事務の遂行とは異なる業務であることは否定できないのであるから,これを著しく特殊な勤務であり,給与上特別の考慮を必要とするとした議会の判断が,社会通念上著しく妥当を欠くものとまで解することは困難であるなどとして,前記請求を棄却した事例
- 全文