裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成13(行コ)125
- 事件名
損害賠償請求控訴事件(原審・千葉地方裁判所平成9年(行ウ)第6号)
- 裁判年月日
平成13年10月31日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 市の収入役が公金で株式を購入し保有したことが地方自治法235条の4第1項等に違反するとして,同法242条の2第1項4号に基づき,前記株式購入当時の収入役ら個人に対して損害賠償請求を求める訴えが,監査請求期間の徒過に正当な理由が認められないとして,却下された事例 2 市の収入役が公金により購入して保有していた株式を,購入当時より低い価格で売却したところ,株式を現金化等することなく株式のまま保有を継続したこと等が違法な財産の管理等に当たるとして,収入役ら個人及び市長個人に対してされた地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求が,いずれも棄却された事例
- 裁判要旨
1 市の収入役が公金で株式を購入し保有したことが地方自治法235条の4第1項等に違反するとして,同法242条の2第1項4号に基づき,前記株式購入当時の収入役ら個人に対して損害賠償請求を求める訴えにつき,前記収入役による株式の購入については地元新聞をはじめ新聞各紙の報道記事によりその事実を市の住民は容易に知り得たものであり,新聞報道の時から相当な期間内に監査請求をすることが十分に可能であったと認められるところ,新聞報道時から7か月近く経過した後に同監査請求がされていることから,監査請求期間の徒過に正当な理由が認められないとして,前記訴えを却下した事例 2 市の収入役が公金により購入して保有していた株式を,購入当時より低い価格で売却したところ,株式を現金化等することなく株式のまま保有を継続したこと等が違法な財産の管理等に当たるとして,収入役ら個人及び市長個人に対してされた地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請につき,株式の取得は地方自治体の現金等の保管方法としては適当でないというべきであるから,職員において,保有それ自体によって地方自治体に損害が及ぶことを回避すべきという判断をすべき状況にある場合には,現金化を含む最も確実かつ有利な方法を選択して保管替えをすべき義務が生ずる場合があるとした上,当該株式を保有していた期間中,株式相場全体の状況は必ずしも下落傾向を示すことなく推移していたことからすると,前記義務があったと認めることができず,前記株式の保有について是正措置を採らなかったことが違法であるとはいえないし,前記株式の購入は普通地方公共団体における現金の出納及び保管の権限を有する収入役の指示により,極めて秘密裏のもとに行われ,監査委員に提出する金融機関別預金残高総括表に虚偽の記載を行うなどしていたものであり,一部の職員以外知り得る状況にはなかったと認められるところ,市長個人は,報告を受けて収入役らによる株式の購入及び保有の事実を知ったものであり,故意に適正な財産管理を怠ったものと認めることもできないとして,前記請求をいずれも棄却した事例
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