裁判例結果詳細

事件番号

平成13(行コ)138

事件名

固定資産評価審査決定取消,市税減免不許可決定取消請求控訴事件(原審・横浜地方裁判所平成11年(行ウ)第31号(甲事件),平成12年(行ウ)第11号(乙事件))

裁判年月日

平成13年10月30日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 マンション敷地である土地の一部に設けられた横浜市市街地環境設計制度に基づく公開空地について,土地のその他の部分と同様に宅地として固定資産価格が決定され,固定資産課税台帳に登録された価額に関する審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の決定の取消請求が,棄却された事例 2 地方税法(平成11年法律第87号による改正前)388条1項が,固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続について,自治大臣の定める告示に委任する旨を定めていることは,租税法律主義を定めた憲法84条に違反しない。 3 マンションの敷地の一部に設けられた横浜市市街地環境設計制度に基づく公開空地部分についてされた市税の減免不許可決定の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

1 マンション敷地である土地の一部に設けられた横浜市市街地環境設計制度に基づく公開空地について,土地のその他の部分と同様に宅地として固定資産価格が決定され,固定資産課税台帳に登録された価額に関する審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の決定の取消請求につき,地方税法に公開空地を非課税とする旨の直接的な規定は存在せず,前記公開空地は一般的公開空地と歩道の用に供する公開空地とからなるところ,このうち一般的公開空地として公園として使用されている部分に関し,公園について非課税を規定する地方税法(平成11年法律第15号による改正前。以下同じ。)348条2項7号の2が適用されるためには自然公園法(平成14年法律第29号による改正前。以下同じ。)17条1項に規定する国立公園又は国定公園の特別地域のうち同法18条1項に規定する特別保護地区その他自治省令で定める地域内の土地で自治省令で定めるものであることが要件とされているところ,前記公園として使用されている部分は当該要件のいずれにも該当せず,歩道の用に供する公開空地部分に関し,同部分の土地がなければ前記マンションは建設できなかったのであり,かつ,歩道としての性質は暫定的なもので,必要に応じて建物の敷地としての本来の性質を顕在化させることのできるものであり,同部分は前記マンションの建築を支える敷地としての意義と機能をなお有しており,また,公園及び歩道として使用されている前記公開空地は,それが設けられた趣旨,経緯,性質,機能等を考慮すると前記土地上に前記マンションを建築するに当たり,当該建物の建築主が許可を受けて設けたもので,それに伴い,建築主は建築物の絶対高さの緩和という利益を受けたものであり,当該公開空地部分も当該建物の敷地面積の一部として算入されているから,公園及び歩道の用に供されている前記公開空地は,そもそも建築物の容積率及び高さの緩和といった私的な利益を実現したいという私的な目的を達成することとの引き替えに,建物の存続する限り公的な性格を帯びたものにすぎず,かつ,当該公開空地の権利は私人に留保され,前記マンションの建て替えに際しては,公園及び歩道の用に供されている状態が解消され得るというのであるから,地方税法において,道路について非課税を定める同法348条2項5号の道路とは本質的な相違があり,前記公開空地は,非課税の公園でも道路でもないばかりか,宅地の性質を残しているものであるから,これを宅地として評価して前記登録価額を決定した前記決定は適法であるとして,前記請求を棄却した事例 2 地方税法(平成11年法律第87号による改正前)388条1項が,固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続について,自治大臣の定める告示に委任する旨を定めていることは,固定資産の評価の基準,評価の実施方法,その手続といった専門的,技術的かつ細目的な事項を定めることを自治大臣の告示に委任しているものであり,また,その委任の目的は,固定資産の評価の基準等を明確にし,全国的な固定資産の評価の統一を図り,市町村間の均衡を維持するという見地からされたものと解されることからすると,そのようにして定められた前記基準等は,委任の根拠が法律にあり,委任の目的,内容,程度などが明確であり,概括的白地的委任ではないから,租税法律主義を定めた憲法84条に違反しない。 3 マンションの敷地の一部に設けられた横浜市市街地環境設計制度に基づく公開空地部分についてされた市税の減免不許可決定の取消請求につき,横浜市市税条例及び同条例施行規則において,公開空地が固定資産税の減免の対象となるとの明示的な規定は存在せず,また,前記公開空地は歩道及び公園に供されるもので,公的な性格を有するといえるが,そもそも建築物の高さの緩和という私的な利益を実現したいという私的な目的を達成することとの引き替えに,建物の存続する限り公的な性格を帯びたものにすぎないという前記公開空地の趣旨を考えると,それは,前記条例62条1項3号の「公益上その他の事由により特に減免を必要とする固定資産」には当たらないとして,前記請求を棄却した事例

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